出版社内容情報
ルーベンスに憧れるフランダースの貧しい少年ネロは、老犬パトラシエを友に一心に絵を描き続けた……。豊かな詩情をたたえた名作。
フランダースの貧しい少年ネロは、村人たちから迫害を受けながらもルーベンスの絵に憧れ、老犬パトラシエを友として一心に絵を描きつづける。しかし、クリスマスの朝アントワープの大伽藍に見いだされたものは、この不幸な天才少年と愛犬との相いだいた亡骸だった。虐げられた者への同情を率直素朴な表現でつづった少年文学の傑作。他に「ニュールンベルクのストーブ」を併録。
【目次】
フランダースの犬
ニュールンベルクのストーブ
解説 村岡花子
1 ~ 1件/全1件
- 評価
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その時の気分で本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
143
少年文学の代表作二篇。共に貧困少年と人ならざる者の絆を描くクリスマスストーリーで、弱者への同情が通底する。表題作は犬視点の幸福な死の物語に収斂させるのがポイントで、少年とキリストの呼応を劇的にしている。対して『ニュールンベルグのストーブ』は家具との絆、予定調和なサクセスストーリーにしても前話の影に隠れがちだが、華麗なファンタジー演出がピリリとした社交風刺を重ねて描かれ、話の活力から著者の情熱をより至近距離で感じられる。「最後まで忠実であり、いさぎよく耐える」美徳を対称的な形で落ち着いた筆致に表現した一冊。2023/09/04
すこにゃん
90
原作でも泣きました。フランドルの人々が如何に多くの芸術家を輩出したことを誇りに思おうとも、人々が無慈悲であればその土地に価値は見いだせないでしょう。「この世に生きながらえるよりもふたりにとっては死の方が情け深かった」なんて。ネロは勿論哀れですが、老成した愛で最期まで少年に寄り添うパトラシエにむしろ心打たれます。ところで、本作品は地元では「負け犬の死」としかうつらず全く不人気らしいことに私は大きなショックを受けるとともに、本感想がとても「日本人らしい」ことを改めて認識しています。世界は広いなあ。2015/06/21
やいっち
87
「ルーベンスに憧れるフランダースの貧しい少年ネロは、老犬パトラシエを友に一心に絵を描き続けた……。豊かな詩情をたたえた名作」というもの。2023/07/09
ハタ
86
表題作且つ知名度の高い「フランダースの犬」他に「ニュールンベルクのストーブ」の2編を収録。改めてフランダースの犬を読んで疑問に思う事はネロとパトラッシュはどうしても死ななければならなかったのか?という事。その答えは作中の末文にはこう綴られている。「この世に生きながらえるよりもふたりにとって死の方が情け深かった。愛には報いず、信じる心にはその信念の実現をみせようとしない世界から、死は忠実な愛をいだいたままの犬と、信じる清い心のままの少年と、この二つの生命を引き取ったのである。」と。そして最後のやり取りで→2016/03/22
NAO
80
ちゃんと読んだのは、実は初めて。【戌年に犬の本】ネロだけでなくパトラッシュもまた悲しい境遇にあったことに驚いた。孤独な少年と虐待を受けていた犬というと、悲惨+悲惨なのに、話が清らかな雰囲気に満ちているのは、ネロの心の美しさによるもので、彼の心が清らかなのはルーベンスの絵の効果なのだろう。だからこそネロには、絵の勉強をさせてあげたかったなあと、心から思う。2018/05/19
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