感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miri
64
青年ヴァランタンが、容姿がほぼ同じで、資産だけが違う侯爵夫人と未亡人をどちらも好きになり、フラフラと風船のように二人の間を漂うのです。生クリームたっぷりの洋菓子も好きだけれど、あっさりとした豆大福の美味しさも捨てがたいという、どちらも欲しいという身勝手さ(笑)それを大抵の男性はこういうものだと詩情溢れる言葉の中に潜り込ませているのです。御本人達は苦しみ悲しみを織り交ぜていますが、端から見ている者にとっては恋愛は実に楽しいものだと思います。そして、最後のオチは唐突すぎて忍び笑いがこぼれました(*´艸`*)2020/02/26
きりぱい
6
「同時に二人の人間を愛するなんてことが、はたしてできるものでありましょうか?」できてしまったのが、ここで語られる青年ヴァランタン。色事師の強烈さではないものの、純情な心は感銘を受けやすく、小さな諍いに倦んだりと、どちらかに決められない揺れる心も退屈ではない。ドゥロネイ夫人よりパルヌ夫人のパートの方が面白い。そして、いよいよ決めなければ(決めても?)一方を失うという時になって彼が選んだのは・・。2011/05/14
bibliophage
5
サクッと読めて面白かった。お金持ちと貧乏、容姿はそっくりな正反対の2人の女性に同時に惹かれる主人公。劇的なことが起きるわけではないが、小さな出来事ひとつひとつも心地よく描写されていて、読ませる力があるなぁと感心した。最後もきれいに終わっていて、なんだかいい気分になった。2017/08/27
まゆ
3
ヴァランタンの公爵夫人と未亡人、2人に対するどっちも好きでどっちも欲しいし失いたくないっていう気持ちなんかわかるなぁって思った。「なぜ選択しなければならないのだろう?どうして一人だけを愛さねばならないのだ?どちらも愛されるに値する人であるからには、ぼくがこの二人を愛してどうしていけないのだ?二人のどちらに、ぼくはもうあなたを愛してはいませんよとか、ぼくは愛してなんかいませんでしたよとか言っても、それは嘘をついたことになるだろう。どちらか一人を選ぶぐらいなら、ぼくはむしろ二人を同時に失いたいよ」妙な説得力。2015/01/10
たぬき
1
驚きの落ち。2019/02/04