感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松風
26
息もつかせぬ手記部分はもちろん、最後のユベールとジャニーヌの手紙の効果が秀逸。読メ登録1000冊目。2015/09/07
ヘラジカ
3
「蝮のからみあい」とは言わずもがな、妄執に囚われた主人公の心であり、その財産を狙う親族同士の確執である。愛を知らぬが故に愛にとりつかれた醜き男の変遷、これを手記の形式でぐいぐい読ませてしまう文章力が凄い!妻と実子に対する過剰なまでの憎悪の中にも、もしや愛されて”いた”のではないかと希望を垣間見せる悲しさ。果たして蝮の絡み合いは断ち切られたのだろうか。基督教を基底に敷いた小説でありながら、あからさまに信仰を終局におかないのが素晴らしい。2012/12/14