新潮文庫<br> テレーズ・デスケイルウ (改版)

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新潮文庫
テレーズ・デスケイルウ (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 172p
  • 商品コード 9784102050019
  • NDC分類 953

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Hirohito

9
再読。大昔、感動した本。浪人中か大学時代?再読し、危うく泣きそうになる。テレーズの震えるほどの孤独。 いったい人は本当に、自分以外のものを理解し得るものなのだろうか?言葉の行間や、背景については所詮、推測しているに過ぎない。テレーズはまるで創世記のイブのようだ。楽園の外側を知ってしまったものだけが孤独に苦しむ。だが、すべてのものが自分の楽園を持っており、他人を理解できないとは考えられないだろうか。たとえ外側を知ってしまったもの同士でも。年を重ねた今、楽園の外側を気にしなくなっている自分を見つける。2013/06/08

Nemorální lid

6
『私は作品の舞台となる家の隅々にいたるまで、頭に判然と思いうかべることなしには、小説を考えることができない』(解 p.170)と言うモーリアックの言葉は、当著が極めて内観的な現実性を帯びていることを示している。『人も物も、自分自身のからだも、自分自身の精神さえも、蜃気楼のごとく、自分自身の外にかかっている水蒸気のごとく、ながめていたのである』(p.101)と言う文章からも、そうした作者の内観性が窺えると思う。自由への願い、死への恐怖、生への倦怠…あらゆるテーマが叙情的に描かれ、考えさせられる一冊だった。2019/01/10

qoop

5
娘、妻、母…といった家族内の役割を演じることは、主人公に取って生を諦めること。自分自身であることにこだわり、生きるため、生の充実を得るため、夫を排除しようとするその心性の純粋さ。同性愛的関係を示唆する友人への思慕も、既成の役割に当てはまらない関係性の希求ゆえかも知れない(男性との恋を知った友人への冷めた視線は嫉妬ではなく、役割に納まろうとする女への決別だろう)。テーマが、展開が、そして何より主人公像が魅力的な一冊だった。2012/02/21

遠方ちひろ

4
娘であり妻であり母であること―しかも世間でそれがあらまほしきと思われる姿で―そのように自分を削り取られ「生の中の死」を味わうことに抵抗した、魂の自由を求める物語。テレーズは子を宿した自分をブドウのつるに過ぎないと感じ、ひとり価値観が違う自分を人並みでないと言う。特に彼女が希求する自由を体現したジャンの登場以後テレーズの焦りが熾烈さを増し、彼女が思い感じることが他人ごとではなく目が離せない。三方を人間の林、現実に囲まれ正面だけが開かれている―暗に神に向かって―という葬式の場面が象徴的2014/04/11

里馬

4
イプセン「人形の家」と対をなす、重っ苦しい話だた。2010/12/28

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