出版社内容情報
しなやかさとしたたかさ、そして仲間。子どもだけの力で、どこまでやれるか。
14歳のゴードンを頭に15人の少年たちだけを乗せたスクーナー船が、ふとしたことから荒海に出てしまった。大嵐にもまれたすえ、船は、とある岸辺に座礁。島か大陸の一部かもわからないこの土地で、彼らは生きるためにさまざまな工夫を重ね、持ち前の知恵と勇気と好奇心とを使って、スリルに満ちた生活を繰りひろげる……。“SFの祖”ジュール・ヴェルヌによる冒険小説の完訳決定版。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
239
優れた物語は少年を大人に、大人を少年にする。舞台は1860年のオークランド(NZ)。8歳から14歳の15人の少年たちが乗ったスルギ号が沖に出てしまう。嵐を抜けてたどり着いたのは島か大陸か?洞窟を見つけサバイバル生活が始まった。興味深いのが大統領選挙(黒人には選挙権がない!)。子どもだけでも社会の縮図を構築。米、英、仏の多国籍と分裂の危機。190ページ過ぎて物語が動き出すのも見事!船が離岸した理由と許すことの意味。まさに永遠の名作。中学生時代から何度読んだことか。原題は「ニ年間の休暇」という。2019/04/04
青乃108号
210
まだ子供だった頃に読んで、すっかり魅了された少年冒険小説の名作。改めて読みなおした。さすがに訳が古いのか、少年の言葉に「~したまえ」が多いのに違和感を感じたが、それ以外はなるほどやっぱり名作であった。15人の少年だけが乗った船が嵐の中漂流し、辿り着いた孤島。15人の少年の知恵と勇気と努力と冒険と。15人もいれば仲違いが起こるのも必定、その辺りも丁寧に物語り、やがて和解、再び15人が一致団結したところで別に漂着した危険人物達との対決。15人の運命は。童心に戻ってワクワクしながらページを捲った。大変満足した。2025/05/08
のっち♬
193
「そんな小さなことで—と思うかもしれない。だが、少年たちの生活は社会の縮図である」一度やろうとしたことは必ずやり抜け、機会を失うな、疲れることを恐れるな、少年達なりに規律で共和国を作り、大人でさえ厳しいこの状況にか弱い少年らは果敢に対応していく。機械や情景の叙述の正確さは著者ならでは。元気を出してとにかくやってみよう!時に対立・離反しては溶け合っていく十五の心。「困難に直面した時に、勤勉、勇気、思慮、熱心の四つがあれば、少年たちでも、必ずそれに打ち勝つことができる」人間の健康面、積極面を鮮烈に描いた名著。2019/06/01
takaC
163
何歳になっても男子には名作です。2015/02/08
月讀命
158
この本は子供の頃読んでいたが、再読してみたくなったので再読。14歳の少年を筆頭に15人の少年たちが、一寸した悪戯をきっかけに大海原に漂流してしまうお話。船は大嵐の大海を彷徨い海岸に座礁。どこか分からない土地で、知恵と勇気を出し合いつつ、協力しながら生きてゆく冒険小説。大人になって読んでみると不自然な点ばかり散見され色々つっこみたくなってしまうが、童心に返って読んでみるのもいい。夢も希望もあった時代に遡ってタイムスリップも悪くない。2012/08/30