出版社内容情報
チャールズ・ディケンズ[チャールズ ディケンズ]
著・文・その他
内容説明
幼友達エミリーと親友スティアフォースの駆け落ち。デイヴィッドを育んでくれた人びとを裏切るこの行為は、彼を悲しみのなかにつき落す。その彼を救ったのは、子供のような心をもった娘ドーラとの愛だった。そして彼女との密かな婚約。しかし、その幸せもつかの間、伯母の破産、婚約の発覚、ドーラの父の死、見習いとして勤める法律事務所の解散など、激しい運命の変転が彼を襲う。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
232
物語の第3巻。20歳~21歳で結婚するまでを描いている。順調だった主人公デイヴィットに、青天の霹靂が様に伯母ベッツィがロンドンに突然上京。そこから彼を取り巻く環境が激変する―― 19世紀におけるイギリスの結婚は、中世以来の『教会結婚』と 1836年から始まった法律上の『民事結婚』の二重体制だった。民事結婚は、登録所で所長と登録官および2名以上の証人の前で行う結婚のことで、宗教が意味付けていた婚姻を近代的な行政が取りこんだ形式なっていた(現代日本における『婚姻届け』を役所に届け出ることに相当する)。 2021/11/23
NAO
53
【誕生月にディケンズ再読】スティアフォースの駆け落ち、伯母の破産、法律事務所の解散など、いろんなことが次々起こる激動の巻。そして、すべての人々の上に重くのしかかってくるようなユライア・ヒープの圧力はさらに不気味さを増す。そんな中でも、落ち込んでばかりはいないいつも前向きな伯母や、エミリーの父の健気さなど、脇役が光っている。デイヴィッドは、ドーラに亡き母を見、二度目の結婚以降母が不幸だったからこそ、母と同じようなドーラを自分が幸せにしなければと思ったのだろうか。2017/02/08
優希
40
登場する人たちが不幸や試練に立ち向かいます。激しい運命の変転がデイヴィッドに襲いかかり、このままどのような道を歩むのか気にならずにはいられませんでした。2024/01/24
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
30
仕事についたデイヴィッドをめぐる様々な出来事。親友の駆け落ちや恋、伯母の倒産。善良な人、子供っぽい人、ずる賢い人、粘着質で気持ち悪くどうにも好きになれない人、ひとりひとりを細かく描き分けて自分の周りに実に似てる人物がいたりして面白い。ディケンズは単純明快なストーリーだがこの人物の表現が豊かで面白い。さてさて四巻へ。2020/04/28
田中
29
予想どおりエミリーとスティアフォースは駆け落ちし行方をくらました。許嫁を失くすハムの傷心ぶり、ミスタ・ペゴティーの悲嘆が可哀想である。あの「ミスタ・マードストン」が再登場し若い金持ち娘と再婚するのに呆れた。小人でちょっと変人めいたミス・モウチャーだが、的確に状況を把握し見解を述べる。頭のネジが緩んでいるようなミスタ・ディックが、ストロング夫妻の寂しい心情を察する。珍妙な二人だが、実は頼もしい人なのだ。ディヴィッドとドーラの恋は、ミスタ・スペンロウの反対で難渋するかと思いきや、劇的な展開に驚いた。 2021/08/19