文庫赤   4-B<br> 人間の条件

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

394
小説は極めて緊迫した場面のうちに始まる。午前0時。陳が武器商人の殺害を決行しつつある、まさにその時間である。我々読者は、その光景を見る作家の視点に同化される。あるいは時には陳自身の視点に。テロリストの陳、共産党員の清、カトフ彼らは3様の過去を持ち思想も違うのだが、それぞれが内なる孤独を抱えている点、そしてニヒリズムの影を背負う点において共通する。蒋介石の国民党、なにか今一つ実態の定かでない共産党、そしてコミンテルン。彼らはそれらの狭間で生き、そして死んでいく。ジゾールとメイによる幕の閉じ方も余韻が深い。2020/09/19

遥かなる想い

163
中国上海の4・12クーデター前後の事件を 背景にした作品である。 中国の国共対立の様をフランス作家マルローが 描く。東洋独特のの過剰な湿度感がないのが、 新鮮な気もするが… 蒋介石の覇権掌握と抵抗して死んでいく コムミストたち…最後の選択の潔さと 随所に窺われるフランス視点が 特徴的な 作品だった。2018/09/24

ケイ

144
再読。読むのは4度目。初めてよんだ20代の時には、マルローの持つオリエンタリズム、特に日本への感傷の本質を知りたくて仕方なかった。自らの年齢が上がるにつれて、死について分かったようなことを書くなと読み方がすれてきたが、今回はこれを書いた若者だったマルロー自身の若気の至りのようなものをむしろ温かい目でみている自分がある。当時の共産主義的革命の精神、その為に命を犠牲にするための意義付け。武士道への畏敬。これが書かれてから三十数年経ってからの三島の自死。表紙には、書いた頃のマルローの顔が欲しい。2018/02/02

扉のこちら側

84
2017年120冊め。【275/G1000】1927年の敗北した、しかしこの上なく生き生きした革命の描写。なぜ労働者や農民は革命に負け、蒋介石の反革命クーデターを許してしまったのか。読んでいる最中はそう思わなかったのに、読了してみるとこのタイトル程ふさわしいものはないよに感じてくる。(続)。 2017/02/05

うらなり

27
 蒋介石と共産党のもつれた関係のなかで、中国のほか、フランス、ロシア、ドイツ、ベルギー各国の背景を持つ登場人物が魅力的でした。マルロー自身もコミュニストとして活動した時期もあったようだが、日本の武士道の切腹にも高い関心があり、革命に殉死する青年にサムライの再現を見ようとするところもあり興味深かったです。2021/05/18

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