感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
100
海底のヨットから埋葬されたはずのレベッカの死体が見つかり、「わたし」は彼女の死にまつわる真相に迫っていく。仮装舞踏会の翌日から物語の表情は一変し、サスペンスフルな加速を見せる。謎が明らかになるにつれてレベッカの存在が薄れていき、「わたし」の心情がより前面に出てくるのが印象的で、マキシムの過去の罪を聞かされようが彼がレベッカを愛していないことで安堵する場面に彼女の人物像がよく出ていると思う。人物に対する印象も随分変わってくるのもまたサスペンスならではの面白さ。最後の演出が物語を一層薄気味いものにしている。2018/06/27
nakanaka
77
いやー、名作ですね。ますます映画を観てみたくなりました。サスペンスでありつつもそれだけではない様々な要素を含んだ作品でした。下巻で明らかになるレベッカとマキシムの関係に妙に納得。マキシムの苦悩が痛々しかったです。登場人物の心理描写が素晴らしく生々しいとすら感じました。ただベンが事件のことを話さなかった点がちょっと引っかかりました。単にファヴェルのことが怖かっただけなのかな?デンヴァース夫人がもっとグイグイくるかと予想していただけにあんまりでしたが最後の最後に存在感を見せ付けてくれました。2016/01/23
ジャムうどん@アカウント移動してごはんになります
55
後半突入です。「わたし」の目線のみで語られ、レベッカ目線では語られないのですが、一人の女性が見事に浮き彫りにされていきます。前半ではレベッカの完璧な陰に付きまとわれる「わたし」でしたが、後半ではレベッカの不気味かつ濃密な陰に付きまとわれます。古めかしい雰囲気が終始漂う、まさしく傑作だと感じました。ラストシーンでは、美しい景色の描写が二人の心情や未来を暗示させており、おもわずほーーとなりました。「わたし」には、幸せになってもらいたいものです。2015/07/26
さゆ
34
どうしてこの本、絶版なんだろう。物語の構成も描写も人物造型も抜群に素晴らしい。私が読み落としていなければ最後まで、ただの一度もファーストネームもクリスチャンネームも出てこない主人公「わたし」をはじめとして、登場人物たちがものすごく生き生きしているのは大久保さんの翻訳のおかげもあるのだろう。40年近く前に読んだわけだけど、忘れられない筈だわよ。この本、欲しい。これこそ、サスペンスなんだと思う。2012/12/27
Ryuko
28
再読。舞踏会の翌朝、レベッカのヨットと死体が発見される。下巻に入り、いきなりサスペンス要素が強くなる。だけど、主人公の心を主軸に置くとやはり、Loveだなあと思う。特に、レベッカの死の真相を知った後の心の変化は、うなづけるし、デュ・モーリアは、とてもうまいと思う。 マキシムはさほど良い男とは思えないけど、良い男だから好きになるわけではないからなあ。2018/12/27