出版社内容情報
絡み合う未来と過去。交差する三人の想い。あの日、不思議な少女は僕の目を見つめてこう言った。「わたしには、未来の記憶があるの。」ピアノの音を失い、弟の才能に影を落としながらも懸命に生きる高校三年生の茂住歩人(もずみあると)。想いを寄せる空手女子との関係は曖昧なまま、未来の記憶を持つという不思議な少女の導きが、歩人の運命を大きく動かし始める。未来と過去が絡み合う三角関係のゆくえは――。切なくて儚いひと夏の青春がここに。
【目次】
内容説明
あの日、不思議な少女は僕の目を見つめてこう言った。「わたしには、未来の記憶があるの」。ピアノの音を失い、弟の才能に影を落としながらも懸命に生きる高校三年生の茂住歩人。想いを寄せる空手女子との関係は曖昧なまま、未来の記憶を持つという不思議な少女の導きが、歩人の運命を大きく動かし始める。未来と過去が絡み合う三角関係のゆくえは―。切なくて儚いひと夏の青春がここに。
著者等紹介
緒乃ワサビ[オノワサビ]
1988(昭和63)年、神奈川県生れ。早稲田大学先進理工学部卒。大学在学中にイラスト制作会社を創業。2016(平成28)年からビジュアルノベル開発に業態変更し、ゲームブランド〈Laplacian〉を立ち上げる。企画・原作・シナリオを担当した「白昼夢の青写真」は、英語、中国語にも翻訳され、国内のみならず、海外にも多くのファンを持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほたる
11
ひと夏の記憶を巡る物語。登場人物たちとその情景描写に瑞々しく透き通っているような雰囲気が感じ取れる。いったい過去に何かがあったのだろうと思わせられ、ピアノの音を取り戻すような展開になっているのが良かった。タイトルに強く結びつく終盤の流れ方はとても綺麗だ。2025/06/25
りこ
6
高校三年の茂住歩人の前に現れた少女・天音沙里。彼女は未来が見えると宣言し、歩人を長野に呼び寄せる。すると歩人の数少ない友人である絵莉やアンジーも空手部の合宿にやって来て――? 確実に何かを知っていて隠している沙里たちと、自分の過去の記憶を偽物のようだと感じている歩人。すべての謎に無駄がない、よく練られた物語だった。骨にヒビの入った右足で上段蹴りを繰り出す彼女の姿がまぶたの裏側に残っている。その夏、誰もが過去と向き合うために全力を尽くして動いていた。それだけは確かだった。ノベルゲーム版もプレイしてみたい。2025/06/25
leo18
4
ピアノを弾けなくなった歩人のもとに友人の絵莉の幼馴染沙莉が訪ねてくる。失った歩人の過去や友人たちの関係などうまくまとめ上げた良作で読後感良し。あれだけ頑張った絵莉は報われて欲しかったな。お母さんも大変だっただろうにその辺の後日談も見たかった。2025/07/08
椎名
4
ノベルゲーム発売前にその小説が発売されるというなかなかないタイプの作品だが、悪い意味でそのどっちつかずさが出てしまったように思える。日常(前半)パートの長さ、二人の間での精神的な揺れ動きの足りなさが特に物足りなさの原因な気がしていて、しかしこれらは他のルートがあるという前提で考えると確かにカバーできる部分だ。基本的に共通パートは毎回読むわけではないということを考えると、終盤が変わるだけで冗長な印象も消えるだろう。その点終盤の展開は面白かったので、やはりゲーム前提の作りであると言われると納得できてしまう。2025/07/04
葉月文
1
なくした過去。見えない未来。その二つを持っていない元天才ピアニストの前に現れる、過去と未来の記憶を持つ美少女ヒロイン。読んでいる最中はずっと違和感があって、それが気持ち悪くてしょうがなかったけど、読み終えた途端に違和感はギミックに変わった。もう一度、本を最初から捲ってみる。今度は違和感なくするりと呑み込むことができる。きっと、小説とゲームと2回読まれることを前提に作られたからこそ、こういう仕様にわざとしたんだと納得した。物語自体は、真っ直ぐな恋愛青春小説。ゲームの発売ももうすぐらしいので、すごく楽しみだ。2025/07/15