出版社内容情報
衝撃のラストにあなたの見る世界は『透きとおる』。大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが――。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。
内容説明
大御所ミステリ作家の宮内彰吾が死去した。宮内は妻帯者ながら多くの女性と交際し、そのうちの一人と子供までつくっていた。それが僕だ。「親父が『世界でいちばん透きとおった物語』という小説を死ぬ間際に書いていたらしい。何か知らないか」宮内の長男からの連絡をきっかけに始まった遺稿探し。編集者の霧子さんの助言をもとに調べるのだが―。予測不能の結末が待つ、衝撃の物語。
著者等紹介
杉井光[スギイヒカル]
電撃小説大賞の銀賞を受賞し、2006(平成18)年電撃文庫『火目の巫女』でデビュー。その後電撃文庫「神様のメモ帳」シリーズがコミカライズ、アニメ化。ライト文芸レーベルや一般文芸誌で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
1650
タイトルからしてライト文芸的な恋愛小説かな?と思って読み始めたらぜんぜん違いました。亡くなった大御所ミステリ作家の遺稿を探す話なので、この作品もミステリ的な興味が持続して引っ張られる。文章もしっとりとした情感があって読み心地が柔らかい。推理小説協会を訪ねていくあたりは、実際の推理作家協会がモデルになってるんだろうな。事務所が普通のマンションの一室だ、とかね。そう思いながら読んでいくと、終盤は作品全体の仕掛けがわかって大いに驚く。なんとなく違和感があったんだけど、そうなってたんだー。いやはや感心しましたわ。2023/06/30
青乃108号
1639
俺はこういう仕掛け本に滅法弱く、ネタバレをくらう前にと、普段図書館本しか読まないくせに一大決心して書店で買った。読んだ。確かにこれは間違いなく「世界で一番透きとおった物語」だ。文字通りの。死を間近にした作家の父が「透きとおった物語」しか読む事のできない息子に、最後に読ませたかった物語の内容自体は原稿の消失の為に想像しか出来ないが、「透き通った物語」に仕立てる為の途方もない艱難辛苦を、弱った体で最期まで乗り越えようとしていた父の姿に胸がいっぱいになり、そして最後には心暖かくなる作品となっている。2023/06/20
夢追人009
1618
地元の図書館にリクエストしまして入荷が随分と遅れましたが遂に読みました話題の一冊ですね。衝撃のラストで本に対する価値観が変わる作品でしたね。著者の企てた大仕掛けの趣向を思う存分に楽しませて頂きました。ネタバレ厳禁ですので注意して書きますね。大御所ミステリ作家が死去し妻以外の交際女性との間に生まれた子供の僕が異母兄から「世界でいちばん透きとおった物語」という父の遺作原稿の行方を探して欲しいと依頼される。この隠された大仕掛けを何故に施さなければならなかったのか?の理由の手掛かりは序盤に伏線が張られていますよ。2023/08/24
パトラッシュ
1503
物故作家の遺作原稿探しに次々と謎が積み重なり、単純に思えた話が予想外な事件をもたらし、意外なつながりが別のつながりを生んでいく。偶然頼りもあったが気にならないほど展開の面白さにページを繰る手を休められず、探偵役の病気や故人が隠し事をした動機といった作り物めいた部分すらも伏線にして回収した果ての最後の紙の本ならではの仕掛けにうならされた。一滴の血も流れず劇的な犯罪も起こらないが、意外なトリックに満ちたミステリを味わった気分。救い難い女好きのダメ男が、実は誰よりも家族を愛していたという事実こそ最大の驚きだが。2024/01/20
bunmei
1414
題名から連想した内容とはいい意味で裏切られ、病死した人気作家の遺作を巡る謎解きミステリー。そして、その遺作の裏に隠された真実が明らかになった時、紙媒体の書籍だからこそ織り込むことのできた、親子の絆と愛情が、鮮やかなトリックとなって浮き上がってくる。このトリックに気づいた時、きっと誰もがページを透かせてみたことだろう。また、前半部の会話や事象がラストへの布石となって繋がりをみせ、本書の校正の凄さと緻密に計算された著者の筆致力に衝撃が走った。そこには、確かに『世界で一番透き通った物語』が映し出されていた。 2023/06/21
-
- 和書
- スローワルツの川




