出版社内容情報
首のない死体が一つ。浮遊する首が一つ……。没落した明治の貿易商、宇江?家。 令嬢の華煉は目覚めると記憶を失っていた。家族がいて謎の使用人が現われた。館は閉されており、出入り困難な中庭があった。そして幽閉塔。濃霧たちこめる夜、異様な連続首無事件が始まる。奇妙な時間差で移動する首、不思議な琴の音、首を抱く首無死体。猟奇か怨恨か、戦慄の死体が意味するものは何か。首に秘められた目的とは。本格ミステリー。
月原 渉[ツキハラ ワタル]
著・文・その他
内容説明
没落した明治の貿易商、宇江神家。令嬢の華煉は目覚めると記憶を失っていた。家族がいて謎の使用人が現われた。館は閉されており、出入り困難な中庭があった。そして幽閉塔。濃霧たちこめる夜、異様な連続首無事件が始まる。奇妙な時間差で移動する首、不思議な琴の音、首を抱く首無死体。猟奇か怨恨か、戦慄の死体が意味するものは何か。首に秘められた目的とは。本格ミステリー。
著者等紹介
月原渉[ツキハラワタル]
1978(昭和53)年神奈川県生れ。2010(平成22)年、『太陽が死んだ夜』で鮎川哲也賞を受賞し、デビュー。個性的な作品を発表し続ける本格ミステリの新鋭。日本推理作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょろこ
114
ぎっしり濃密本格ミステリ、の一冊。舞台は孤島の館。濃霧たちこめる夜、記憶を失った令嬢と謎の使用人が見たのは首のない死体、浮遊する首…そして始まる連続首無事件。設定もさることながら、このページ数にぎっしり無駄なく濃密にまとめられた本格ミステリだった。謎が謎を呼び不可解なことだらけ。ちょっと休憩的な無駄な描写もないため、使用人シズカの言葉ひとつひとつを理解しようとしながら、とにかく頭はフル回転。そしてたどりついた真相。なるほど…これはもの悲しさが漂う。久々に味わった本格ミステリ、心地よい疲れも漂った。2019/05/22
相田うえお
107
★★★☆☆21100【首無館の殺人 (月原 渉さん)】初読み作家さん。シリーズ1作目だと勘違いし、2作目の本作品を読んでしまいましたが特に問題無し。館系ミステリー作品の楽しみのひとつでもある館平面図や地図、こいつは誰だっけ?な〜んていうときに便利な登場人物一覧などがなかったのは少々残念。何の予備知識もなく読み始めたので『このシズカという女性は使用人なのに出しゃばりだなぁ〜』なーんて思ってたら、これ、使用人探偵シズカシリーズって〜事でしたか。突飛な発言と訳のわからない推理の連発で頭から煙が出そうでした。2021/10/04
aquamarine
96
使用人探偵シズカシリーズ2作目ですが、前作を読んでなくても全く問題ありません。見取り図を描きたくなる館の作り、首切り死体、浮遊する首、密室にクローズドサークル…前作同様本格好きがニヤニヤする状況が揃っています。首切りと言えば入れ替わり、でも胸元の入れ墨は?等、視点のお嬢様同様翻弄されながら一気に読みました。動機も犯人のとった行動も納得できる一冊。同じものを別レーベルで書けばもっと重厚感のあるものになったかな?そっちの方がたぶん好みですが、レーベルらしい、ロジックぎっちりなのに軽めのこれもありでしょう。2019/11/04
雪紫
71
記憶喪失のお嬢様(本当に本人?)。クローズドサークルと怪しい家族とムードは盛りだくさん。浮遊する首やなくなったはずの首が次の首なし死体の前に明かされたり顔のない死体が出て来たり。なんとなく大枠の予想はしてたけど、明らかにした最初の一手には驚き。でも下手したら犯人よりシズカさんの惨劇回避のアイディアがこの事件で一番のクレイジー。2022/06/25
カナン
68
シリーズ二作目とのことだが一冊目を読んでなくても特に困らない。推理をする使用人シズカのロシア混じりの美貌と冷ややかな佇まい、その唇が時折ぽつりと零すスラングが、一人また一人と首を無くした死体が転がる館の中で映えるが、少々展開が慌ただしい。記憶喪失の娘、孤島に建つ洋館、立ち込める霧と漂う煙管の香…までは良いのだけど、え、もう次行くの? と思うほどさくさく進むので没入感はあまり無い。故にミステリとしての重厚感も物足りず。あとこれは完全に個人の好みだが、登場人物の名前がこれでもかと中二病拗らせてるのが気になる。2020/08/28