出版社内容情報
竹宮 ゆゆこ[タケミヤ ユユコ]
内容説明
樺島信濃は、逃げていた。誰から?包丁を持った女から。なぜ?愛人であることがバレたから。逃げて、逃げて、逃げて。今はスポーツジムのアルバイト。けれど、給料では生活費すら賄えず、貢がれたブランド品を売って、なんとか暮らす二十六歳の日々。これではダメだ。わかっている。でも。そんなある日、弟が元恋人とやってきて…。愛とは。家族とは。切なさ極まる長篇小説。
著者等紹介
竹宮ゆゆこ[タケミヤユユコ]
1978(昭和53)年、東京生れ。2004(平成16)年、「うさぎホームシック」でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆ゆう☆
77
なんというか、なんとも彼女の作品らしい一冊。出だしから、包丁持って追いかけて来る愛人の妻から逃げまくるとか。とにかくハイテンションのゆゆこ節炸裂だった。物語は、正直意味不明だけど、スピード感で読み切った。お金も無く、身寄りもない信濃。信濃の人生ってドン底だったけれど、睦月が居てくれたから…。これは信濃と醍醐の長いラブストーリーだと思えばよいのかな。睦月が見えなくなったってことは、最期は幸せになれたのかな。2017/09/05
さばかん
60
これもまた人生。 燃え上がれ。 燃え尽きろ。 良い人生だった。2017/08/01
まりも
59
愛人生活がバレてただのフリーターになった信濃。そんな彼女の元に弟が元恋人を連れてやってくるところから始まる話。うぉお、ゆゆこ節炸裂しまくってるなぁ。このアップダウンの激しさと全てを置いていくかのような疾走感の凄いことよ。どん底に生きる女の雄叫びというか全力で駆け抜け、文字通り燃え尽きるかのように生きるその姿は圧倒的な迫力があってとても良かったです。なんというか兎に角パワーに溢れた物語ですよね。なんだかよくわからんけど読んだら確実に心が揺さぶられる。生への熱力を感じさせる1冊でした。2017/06/06
よっち
53
愛人生活がバレてスポーツジムのアルバイトの給料では生活費すら賄えず、貢がれたブランド品を売って何とか暮らす信濃の元に、弟が元恋人を連れて訪ねてくる物語。冒頭から包丁を持った愛人の妻に殺されかけててギョッとしましたが、どん底の信濃の生活っぷりや、同じようにどん底で過去に二度も絶交した因縁の相手・醍醐との気まずい再会、意味不明の意気投合から自己嫌悪する流れはうわあと思いつつもぐいぐい読ませますね。相変わらず波乱万丈な二人にそんなに簡単には変わらないよなと思いつつもその悪くないと思える結末には救いを感じました。2017/05/27
あおでん@やさどく管理人
42
信濃はすごくエネルギーを持つ一方で、傷ついたり苦しんだりしている人を放っておけない優しさを持った人だなと感じた。だからこそ、どん底の生活の中で、腐ったスイカのように行き場のないガスを溜めていても、何だかんだで周りの人が助けてくれる。そして、そんな人でも(だからこそ)誰かの助けになることができる。そこに、生きている意味はある。2017/07/27