新潮文庫<br> 三島由紀夫の世界

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新潮文庫
三島由紀夫の世界

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  • サイズ 文庫判/ページ数 598p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101497112
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0191

内容説明

破れた初恋が、その生涯に落した長い影。「仮面」の創造と「他者」への転生の足跡。そして、死を賭してまで世に訴えたかったこと…。生前の深い交友を絶妙の通奏低音としつつ、創作や評論、ノート、書簡等、あたう限り三島由紀夫自身の言葉にもとづき、類いなき文学者の全体像を精緻に浮びあがらせる。スキャンダラスな曲解、伝説の数々を払拭し、「三島論」の期を画した決定版評伝。

目次

序章 生家
1 青春―『酸模』から『盗賊』へ
2 自己改造をめざして―『仮面の告白』から『金閣寺』へ
3 死の栄光―『鏡子の家』から『英霊の声』へ
4 行動者―『豊饒の海』の完結

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

69
三島の親の代から付き合いがあり親交があった著者による作品論作家論。先祖のことから、時代に沿って、三島の発表作品やエッセイなどの引用が主で、この作家の生涯を描く。先日読んだ評論とは当然であるが違いがありいろいろ面白く思う。三島には結婚前に、二度の失恋がありそれが作品に影響があると著者は言う。自死から20年ほど経っての本で、楯の会に佐藤首相から資金援助の話があったと初めて語っている。思いつめて破滅に突き進む三島と作品の引用に息苦しくなってしまった。まだ読んでいない作品が多数あると自覚。良書。2018/04/11

シュラフ

29
「個人的に親しくつきあうようになったのは、昭和三十年代の半ば以降です。そのうち双方の母親の交友が復活し、妹の英子は三島の劇団にはいりました。」三島由紀夫という仮面をかぶった平岡公威(三島の本名)を語るにおいて、著者の村松剛ほどの適任者は他にいないだろう。三島由紀夫の年代ごとの事件を丹念に拾っているから、背景の理解により作品が実によく理解できる。ただ三島由紀夫に関する大きな謎である割腹自殺について、なぜ絶頂期にいると思われた三島由紀夫が勝算のない決起にふみきったのか、そこに至る心情はやはり理解できなかった。2018/08/16

風に吹かれて

13
親の代から三島家と親交があった村松氏による三島由紀夫評伝。三島の小説、評論、そして三島と語り合ったときの三島の言葉を引用しながら、その時その時の三島の姿を浮かび上がらせる。三島の近くにいたからこそ三島同性愛者説をはっきりと否定し、小説中の文章ひとつひとつから三島の心境を明らかにして見せる。日本の文芸評論家やユルスナールなどの三島論も紹介しているが、日沼倫太郎の『午後の曳航』の読みには感服した。三島に「いつ自殺するんですか。」と問いかけ続け、自身が先に亡くなってしまったそうだ。彼のものも何か読んでみたい。2017/02/06

Chihoish

3
作品を読まなければ、都市伝説にも似た三島由紀夫の表層しか知りえなかった。そしてこの本を読んで更に三島の内面を垣間見たような気がする。初恋をめぐる逡巡が切なかった。どんどんとあの日へ近づいていき、胸が痛かった。お母様の言葉が胸にしみる。あまりに純粋ゆえの仮面。一気読みでした。2017/03/15

Gen Kato

2
十数年ぶりの再読。初読は図書館本だった気がします。作品評・人物評ともに深く濃く、ぐいぐい読まされる。三島の同性愛を「仮面」に過ぎないと主張しすぎる感がなきにしもあらずだけど、名著です。2015/12/06

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