内容説明
思慮深く繊細なチャーリー・ブラウン、ガミガミ屋のルーシー、世界一有名な犬スヌーピー―彼らの愛すべき日常風景の中に、人生の喜びや悲しみの奥深さを描く漫画『ピーナッツ』。その魅力に長年親しんできた著者が、ジャーナリストとしての豊富な経験をもとに“普通”のアメリカ人のホンネ、価値観を語る。人生を充実させるためのヒントや心楽しい発見もいっぱいのユニークな文化論。
目次
序章 『ピーナッツ』を抜きにしてアメリカは語れない(漫画が伝える真実;スヌーピーで育った世代が大統領に ほか)
1 人生についての大人の読み物(「どこにでもある町」のちびっこたち;ほろ苦き人生 ほか)
2 活躍するちびっこ群像(主人公チャーリー・ブラウン;おませで可愛い妹サリー ほか)
3 もうひとつのアメリカ(レッド・バロンとベトナム戦争;ビフテキと民主主義の関係 ほか)
4 今や「世界市民」となったちびっこたち(スヌーピー、モスクワへ行く―冷戦の緩和に貢献(?)
戦後アメリカ文化の代表になる―スミソニアン博物館での展覧会 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あんさん
12
スヌーピーで英語を学ぶ、的なものは中高生の頃にあったが、単語のニュアンスが分からず面白さが理解できなかった。今回、著者の解説と相まって精神的にも深い内容が味わえたのは、少しは英語力がついたということかも。30年前の本ではあるが、小難しい書籍ではなかなか出てこない、等身大のアメリカに触れた感がある。2023/05/04
きつね
7
アメリカの中産階級の生活感情などをピーナッツを題材に想像しましょうという本。なぜスヌーピーが戦闘機にのる空想をするのか、なぜタイプライターで小説を書いているのか、やけに気になったので手掛かりを探すために読んでみた。シュルツ氏の従軍体験、作品での戦争の取りあげ方にさらにフォーカスしてみる必要がある。次は伝記を読みたい。2016/01/23
ありんこ
4
英語の勉強のために何冊か洋書で「PEANUTS」を読んだことがあるけれど、哲学的なセリフがあって、なかなか考えさせられます。この本にも数多く紹介されていて、改めてこのマンガのすばらしさを実感しました。特にチャーリー・ブラウンが好き。父の日のエピソードがいいです。2018/05/08
コリ
2
ピーナッツがどこの国の漫画なのかさえ知らなかったので、よく見たことのある赤いスカーフをなびかせて飛行機の操縦桿を握るスヌーピーが第一次対戦のドイツ名パイロットと戦う夢を見ていたことなど知るはずもなく。アメリカ人が愛する自由の裏に影を落とす孤独と緊張感を象徴する精神科医と弁護士等色々知ることができて面白かった。しかし何より、ピーナッツ作者のシュルツが慎ましくただ読んでいて楽しい漫画を描きたかったために、強い政治的主張や示唆を読み取るのは深読みのしすぎだと解説してくれる語り口が心地よい。ピーナッツ読んでみたい2024/09/09
居酒家鑿藝
1
今トランプが出てきたり、EUが揺れに揺れている中、これを読みながら現状の世界は必然的に思える。移民国家はこういう運命へ経て、銃社会や戦争に向かうのではないかと。移民に関する一連の意見は見ながら思った。著者は自由主義ながら、移民には慎重論であり、その背景は今のEU等にも通じる話に思える。また、アメリカンドリームというのも、最初から夢物語であったのではないかとも、思える。サザエさんにしろ、ちびまる子ちゃんにしろ、プリキュアにしろ、生活の様子などが投影されているだろうなと。それを読み解くアプローチが面白い。2016/04/19