新潮文庫
ロンドン骨董街の人びと

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101491318
  • NDC分類 756.8
  • Cコード C0170

内容説明

「やっぱり、この瓶が一番だ」ひと気のないロンドンの美術館で南宋の青磁に魅せられた著者は、イギリス留学して美術史を学び、ついに欧州屈指の古美術商スピンクに職を得る。変人一歩手前の大富豪コレクターたち、華やかなアンティックス・フェア、貴族の館のオークション、ガンダーラ美術の世界的権威の壮絶な死など、英国人気質を垣間見ることのできる、極上の自伝的エッセイ。

目次

第1章 東の果て(イースト・エンド)の旅立ち―古美術鑑定ショーへ行く
第2章 英国紳士の豊かな遺産―デヴィッド財団コレクション
第3章 セント・ジェームズ街の古美術商―王室御用達の古美術商への就職
第4章 仕事部屋は屋根裏の宝物殿―誇り高きディーラーたちと
第5章 コレクターたちのクリスマス―英国コレクター気質
第6章 古美術商たちの華麗な六月―グロヴナー・ハウス・アンティックス・フェア
第7章 貴族の館のオークション―ハウス・セール
第8章 ある古美術商の死―石の神々

著者等紹介

六嶋由岐子[ロクシマユキコ]
大阪府生れ、関西学院大学文学部卒。ロンドン大学東洋アフリカ研究所及び、デヴィッド財団コレクションで修士課程(東洋陶磁)を修了後、ロンドンの古美術商スピンク・アンド・サンの東洋美術部に勤務。帰国後は古古美術取引を行いながら、美術関連の翻訳を手がける。1998(平成10)年、本書『ロンドン骨董街の人びと』で講談社エッセイ賞を受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ねこ

101
英国屈指の古美術商スピンクで日本人初の正社員に抜擢された著者の視点から見た英国紳士淑女の人間模様。日本人でありながらウィットに富んだ言い回しや思考や決断力からイギリスの上流階級の考え方とか入り混じりとても愉快で知的で繊細なエッセイでした。欧米でのアンティックの定義は百年以上昔に作られたものであるというウンチクから、イギリスの階級社会による貧困が深刻なのは人間としての感性そのものが欠落している人間以下の人間を作ることなど歴史からなる社会構造の欠点の指摘まで幅広い。私は古書は大好きだし骨董も嫌いではない。2024/12/20

よしじ乃輔

7
自分の体験する事のない領域を読み知リアル事が読書の楽しみと思っている。満たしてくれるエッセイ。欧州屈指の骨董界老舗、スピンクス社で入社し、そこで働く英国人やコレクターから感じる上流階級層意識や、骨董品にまつわる専門知識を綴る。著者の感じた英国へのネガポジな点を冷静に俯瞰した甘くない文章が引き立たせています。小説のような章もあり、非常に良い作品に出会えました。2023/04/21

マサ

7
イギリスの上流階級の思考や行動の仕方をうかがい知ることができて面白い。イギリスにある東洋をはじめとする世界の美術品が本来そこにあるべきものではないということに改めて気付かされる。しかしまた、そこにあるから生き残ったという側面もあるのかもしれない。最も興味深かったのは骨董街の話ではなく著者が初めて住んだイースト・エンドの話だった。2020/07/21

cloud9

2
mews(馬屋、馬屋通り)、gentry、in situ(元の位置に、ラテン語)、ヤクシー(インドの女神)。2024/06/28

にんにん

2
骨董世界を通じて描かれる英国見聞録。最初に住んだのは、被差別地区とも言える貧民窟街。そこで階級差別意識が英国人の骨身に染みこんでいることを筆者は学ぶ。ここでの見聞やエピソードが、この本で一番面白く価値がある。老舗の骨董商会に就職しするが、採用理由は日本人女性だからとしか思えない。彼女の仕事や待遇は正社員として扱われているように思えず、中枢へは近づかせて貰えなかったようだ。そのせいでこの辺りから内容が隔靴掻痒という感じで物足りなくなっていく。没落貴族の話や経営者の壮絶な死の話もあるが、尻つぼみな印象を受けた2013/08/14

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