内容説明
「生きていく理由はないと思う。いかに懸命に生きても、いずれ死んでしまうのだから」。日本も人類も滅びて一向に構わない。世間の偽善ゴッコには参加したくもない…。いっぽう妻と喧嘩して首を締められたり、路上ミュージシャンに酒を奢ったり、桜の巨木を見て涙を流したりの日々。「常識に囚われず、しかも滑稽である」そんな「風狂」の人でありたいと願う哲学者の反社会的思索の軌跡。
目次
生きていく理由(どうせ死んでしまう;妻と壮絶なバトル、くたびれ果てた ほか)
愛される恐怖(「ぼくは死ぬ、ぼくは死ぬ…」;一億二千万分の二十 ほか)
共感しない心(向いているのかいないのか;なんで電気を点けるの ほか)
哲学という病(ちょっと親バカ;したたかになれない彼 ほか)
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946(昭和21)年福岡県生れ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学大学院基礎総合科学哲学博士課程修了。現在、電気通信大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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香菜子(かなこ・Kanako)
32
狂人三歩手前。中島義道先生の著書。日本は何かにつけて協調性協調性と協調性強制社会。協調性軽視の組織嫌いだって構わない。哲学科修了の哲学博士である中島先生ならではのご意見には考えさせられることがたくさんありました。狂人三歩手前という過激なタイトルのとおり、内容も日本社会や日本人の生き方の問題点を単刀直入に指摘していて心地良いです。2018/11/04
金吾
21
わかる部分も理解できない部分もありますが、中島節が相変わらず炸裂しています。偏執的な処もありますが、自分の考えにしたがって行動する点は好みであると共に読んでいて楽しいです。2022/03/20
タク
15
こんなに面倒くさそうな人なのに、何だか許せる愛嬌が中島さん最大の武器。あと、なんだかんだであまり個人攻撃してないしな。タイトルは『狂人三歩手前』だけど、実際は5歩位手前だと思う2010/11/13
たくのみ
11
「正常でなく常識にとらわれない大きさを有し、しかも滑稽である」というものになりたい、しかしまだ未熟で三歩手前なのだ、という中島先生の「謙虚な」エッセイ集。「ドイツ語が上手い」と現地人と間違われた、学科長になってちょっとうれしい、という俗人の自分を出す露悪趣味。理想とのギャップに悩み、怒りまくる姿。俺も嫌われてるけどここまでじゃないよね、という安心感を与えてくれるデトックス効果。向こう三軒両隣に罵詈雑言を浴びせつつも、インテリゲンチャとして愛される、それも先生の計算なのかも。2015/05/15
ichiro-k
11
オモシロイと思う(共感?)中古書籍は概ね安い。ツマンネー(反感?)と感じる書籍の中古本はほとんどが高い(逆説は成り立たない。たとえば「英雄、色を好む」の逆「スケベは英雄」)自分のモノサシが世間のモノサシと違うことを「これでいいのだ!」と納得する。要するに好きな本を読めばいいということ。2010/03/29