内容説明
恋人の髪の匂いから、隠された一面を知る男。一夜の出会いから、過去の真実に気付く少年。軽いゲームのつもりが、危険な賭けに巻き込まれる男。香水の残り香に、恋の行方を悟る女…。飲み物、煙草、装身具、香水など、誰にでもあるお気に入りの一品が、思いがけず日常を反転させるスリリングな瞬間を、ミステリの名手八人が鮮やかに描く。短編小説の醍醐味溢れる、傑作アンソロジー。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年佐賀生れ。ハードボイルドな冒険小説から歴史小説まで、広く活躍
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感想・レビュー
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cithara
11
ふだん読まない作家陣ばかり。私は宮部みゆき氏目当てで購入したと思われる。『不可抗力』(結城昌治)→「これで映画でも見て... 」忠市は大急ぎで千円札を鈴子の手に握らせると... この描写に古臭さを感じた。今どき千円で映画は見られないよ。書かれた年を調べるとやはり1970年代。結城氏だけでなく、阿刀田高、北方健三、勝目梓の作品にもそこはかとなく違和感が。ハードボイルド小説だから男性ウケを狙ったのかもしれないが、堂々とした女性蔑視の数々にただ茫然としてしまう。闇に香ったのはこのようなざらついた感覚だった。2017/09/26
みんち
10
ふと手に取った短編集「闇に香るもの」を読了。北方謙三氏が日本ペンクラブなどに所属する著名作家たちの短編から自選した8本を収録。タイトルに「香るもの」とあるようにタバコ、香水、酒などの香りを楽しむような嗜好品から、指輪や缶コーヒーといったいわゆる「小道具」が効果的に効いている作品を選んだ、ちょっと変わったアンソロジーとなっている。順に、両親が旅行中で一人で留守番をしていた少年のところへ、父親の愛人だという若い女が子供連れで押しかけてくる、宮部みゆき氏の「この子誰の子」。2016/10/16
ake7🍀 ゆるんだ人からうまくいく
7
新潮文庫の帯には「ミステリー中毒」とあり、タイトルや表紙はホラーチックだが、どの話もホラーという雰囲気ではなかった。むしろ「闇にさす光り」と言った趣きさえあるが、暗くはない。それぞれ、「親子」「コーヒー(ビール)」「タバコ(残り香)」「香水」「死体(棺)」と言った具合に次のストーリーへうまく移行させていく編集になっている。阿刀田高の「ギャンブル狂夫人」は別の短編集で既読だった。宮部みゆきの「この子誰の子」のみ読んだ形跡があったが、最後を読むまで思い出せなかった。唯一ホラー展開が予想されたが爽やかなラスト。2023/02/12
みぃすけ
7
香りに特化した短編集でしたが、香りというより小道具にまつわるものが多い印象。初読みの作家さんも含めてどの話もよかったです。2016/06/12
dice-kn
6
キーとなるアイテムがそれぞれの物語に関わっている短編集、というのかな。作家さん毎にカラーが出ていて興味深かったです。この手の作品を読むたびに、”女性は怖いな~” と思ってしまうのは気のせいではない、ですね(^-^;2017/08/29