内容説明
人間にとって最もだらしがない気分とは?カーディガンを着る人に悪人はいないのか?新聞、人名、日常会話、あるいはバレリーナの足に関する考察から、その裏に潜む宇宙の真理に迫る。牛に向かってひたすら歩き続け「牛的人生」を探究する岸田賞作家が、独自の視点で解き明かす奇妙な現象の数々。本書を一読すれば、退屈な日常がなんだかシュールで過激な世界に変わってくる。
目次
第1章 犬見る人生
第2章 朝、戸口でごとんと音がした
第3章 耳と砂漠
第4章 読むという病
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
46
「読むという病」という章で『明恵 夢を生きる』の書評を宮沢さんが書いていて、ちょうど、この『牛への道』と併読していたところだったので、シンクロニシティにドキッとした。2016/10/19
saga
42
不思議な書名。どういうことだ? あとがきを読んでも? であるが、独特の視点に基づく面白いエッセイであることに変わりはない。第四章「読むという病」にある鞄に数冊の本を持って出かけてしまう人を『読書家はつくづく厄介である。』で一刀両断にし、奥付の発行年や刷数にわざわざ触れるところなどシンパシーを感じてしまう。読メユーザーの私も皆さんもこの病に罹っている?!2015/02/02
tapioka
40
新聞のスポーツ欄の見出しや、「中国の」とつくだけで健康に効きそうな気がするなど、日常の様々なものに対して、その謎に思いを巡らせるエッセイ集。常人とは少しだけズレた着眼点が面白い。また、この手のエッセイは遠い空想の世界に旅立ちがちですが、割と現実に近いところで足を一応地につけて述べているので、そこが納得できる点が多い理由でしょうね。些細なことにも疑問を持つ姿勢は見習いたいです。個人的に、まえがき、三行目の感動、碁石と親切、カーディガンを着る悪党はいない、正義の味方だから、読むという病ノート、が楽しめました。2016/08/05
めろんラブ
35
牛的人生への指南書。しかし、牛的人生がなんたるかの説明はない。そんなことにはおかまいなしに牛に向かってまた一歩・・・。脱力系というより考察系という感じのエッセイ。新聞記事や本を題材に、現象が引き起こす不条理感を「これはいったいどういうことか」と若干の怒りを覗かせながらつっこみまくり考えまくっている。筆者のつっこみキャラぶりと博覧強記ぶりは一読の価値あり!お忙しい方は、まえがきだけでも(笑)。読後、朝日新聞の囲碁名人戦コーナーをすかさずチェック。確かに!思わず膝ポン。新刊『考えない人』も楽しみ♪2010/03/16
UK
32
相変わらずの宮沢調なのだが、あれれ今回は少し違う気がする。いつもは100回ぐるぐる回ってから走り出した時のような酩酊感に襲われるのだけど、なんだかすごくまともなことを言っているような。だよね、なんて同調するトコロがやたら多いと不安になるじゃないですか。自分、変になったのか?でも後書きを読んで安心。なあんだ2冊目の単行本。これからちゃんとヘンになっていくんだね。この人の笑いは「あはは」でも「うふふ」でもなく、「にやり」でもない。「(か/くっ)」っていう感じ。か/くは「か」と「く」の中間で発音してね。2016/02/03