出版社内容情報
少女時代の万浬は教育実習生の詩楠子に“実験”を行い、殺人犯と接触していた。彼女は心に痛みを持たぬことで周囲に波紋を広げていたのだった。万浬に仕える使徒を志願する森悟の弟、英慈。曾根雅雄の身体を食い尽くす病。野宮万浬と貴井森悟の関係に大きな変化が訪れ、物語は衝撃の結末を迎える。『家族狩り』『永遠の仔』と並ぶ、天童荒太のサスペンス長篇。全面改訂による文庫完全版。
内容説明
少女時代の万浬は教育実習生の詩楠子に“実験”を行い、殺人犯と接触していた。彼女は心に痛みを持たぬことで周囲に波紋を広げていたのだった。万浬に仕える使徒を志願する森悟の弟、英慈。曾根雅雄の身体を食い尽くす病。野宮万浬と貴井森悟の関係に大きな変化が訪れ、物語は衝撃の結末を迎える。『家族狩り』『永遠の仔』と並ぶ、天童荒太のサスペンス長篇。全面改訂による、文庫完全版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はち
19
先天的に精神的な痛みを感じない女医。テロの爆破によって一命は取りとめたものの、身体的な痛みを感じなくなった男。「痛み」に執着、依存、いろんな意味で翻弄される人々。天童さん、今回も重たいテーマをありがとう😓読み終わった今も、自分と痛み!特に精神的痛みから私は何を得たか?ずぅ〜っと考えている。「愛することは相手を知ると」と恩師から学んだ。相手を知ることは時に残酷で、心が痛いことも。その痛みを受け入れ、乗り越えて自分はそれを「愛情」だと思っている。痛みがなく喜びだけだったら?私は自身の愛情を実感できるのか?2021/06/13
うさうさ
15
上巻ではペインクリニック医師の無痛症患者への強烈な関心、下巻では末期癌の老人から昔に経験した恍惚とする痛みの再現を望まれた。上巻と下巻の繋がりが薄く、下巻が長すぎる。「痛み」がなかなか想像が追いつかない話になってしまい残念。でも、天童荒太さん初読みだったので嬉しい。 2023/08/15
るる
13
心の痛みを感じない女医と無痛症の男性との、だいぶエロティックなストーリーです。佳境で、女医の心の溶解を期待して読み進めたが、やはりそれは無理なこと。心の痛みを感じない登場人物に、サイコパス的な要素を感じたのは、私だけであろうか? 2021/05/09
時代
10
もうダメだ。グロテスクでサイケデリックでサディスティックだ。たまらん。この感覚は遠すぎて孤高ですらある。神。我々は痛みを抱えながら、愛を持って滅びていく。それでいいと思う。レビューなんか書けやしねー程深く尊い◯2021/03/09
shun
3
2021年16冊目。上下巻からなる作品の下巻。主題は『痛み』。『痛み』があるからこそ、人類は滅びるのかもしれない。『痛み』があるからこそ、これまで滅びずに存続してきたのかもしれない。世界から『痛み』がなくなれば、本当に次の段階に行けるのか。とても深い話でした。そして、とても天堂さんらしい作品だなと感じました。万浬自身はもちろん感じていないと思いますが、彼女のことを完全に理解できる人がこの世にいなくて、結局孤独で、とても切なくなりました。他人のことを完全に理解できる人なんて、そもそもいないとは思いますが。2021/03/18
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