内容説明
猛将白起率いる秦軍は、領土を拡大するも宣太后らの私有地が増えるばかりであった。魏の巷間に身を潜めていた范雎は秦の昭襄王への謁見が叶い、天下の秘策「遠交近攻」を献じ、信任を得る。宰相となった茫雎は、政争の芽を的確に摘み、韓・魏・趙など隣国を次々に落とし、巨大帝国の礎を築いていく。始皇帝出現前夜、戦国期に終焉をもたらした天才宰相を雄渾壮大に描く傑作歴史長編。
感想・レビュー
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KAZOO
49
後半は、范雎がいよいよ秦の王にあって有名な「遠交近攻」の策を提言して、清の宰相となり、内部を固めてその政策通りに実行していきます。別の国の宰相となり、若かりし頃の復讐を成し遂げるとともに秦の礎を築いたということのようです。2015/05/08
Tomoichi
13
下巻になってやっと面白くなったけど、上巻の前半はいらんかな?2025/01/05
春風
10
兵法『三十六計』に見られる「遠交近攻」策を献言したことで名を馳せた、中国戦国時代の秦相「范雎」の物語。奇襲のような「点」での戦術を説いた孫武の『孫子』と比べ、東洋に於いて早期に「面」での戦略を披露した人物として興味を抱いての選書。宮城谷昌光先生50代の頃の名作。上巻では多くの魅力的な女性たちが登場し、忍耐を強いられるも清々しさのある青春小説としても読めたのだが、下巻では完璧なる復讎を企む復讎譚となる。これがまた陰湿さを払った復讎。下手に現代と共鳴させて読まずに、古代の価値観に寄り添い味わうべき作品か。2024/11/19
RED FOX
9
「力のある者が力のない者をいじめぬき抹殺しようとするほど陋劣なことはない」人目を惹き気を衒った弁舌を良しとせず着実な提言で天下に登っていく范雎かっこいい。紀元前中国の成熟ぶりよ。2024/01/15
🐾ドライ🐾
8
秦という強国の宰相となった范雎。暴行を受け厠に放り込まれた恨みを晴らせるか!?世間では「人を呪わば穴二つ」なんて申したりしますが、なぜ無事に穴一つで済んだのか?それは義理堅い人だったからじゃないでしょうかね。一杯の飯の恩義にも報いたというし、暴行したリーダーの前にわざとボロ着で現れて、相手から絹の着物を与えられたことである程度許してやったとか。 遠交近攻策で秦の基盤固め。范雎が補佐した昭襄王は始皇帝の曾祖父。漫画キングダムの数十年前のお話。2021/03/12
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