感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たか
34
本書は、栗本薫が毎月12種類の短編を雑誌に連載したのをまとめたもの。注目すべきは、そのジャンルがミステリ、時代小説、風俗小説、SF小説、青春小説、捕物帖、恋愛小説、私小説など、同じジャンルのものを扱っていないこと。それぞれ良作ぞろいである。B評価2017/12/28
Tanaka9999
9
1985(昭和60)年発行、新潮社の新潮文庫。12編。前も書いたことがあると思うが、この作者の書く近代を舞台にした風俗モノは苦手。推理系は舞台が背景に隠れるからまだいい。特に伊集院大介モノは近代が舞台でも全く気にならない。でも、この作者の場合はどの時代を舞台にしてもある意味変わり映えがしない。この中にも捕物があるが、確かに江戸を舞台としているのに、なんとなく違う。違和感とも違う感じ。舞台に絶対の必然性がない、というか。グインはぴったり舞台にはまる。結局SFとかヒロイックが一番ぴったりはまるのだろう。2021/08/16
キジネコ
5
小説も芸に他ならず。芸の深淵にとらわれた芸人であると、作家は自身のことを言う。12通りのスタイルの短編集、「犬の目」「保証人」のせつなさ、「おせん」で描かれる女の成長、「忘れないで」の記憶と人間の哲学的な提言等々、作家の職人技と気質を感じさせてくれる作品で面白かった。が、私小説「五来さんのこと」の作り物ではない説得力に感動、不覚にも涙が出た。2012/08/03
ライクロフト
3
久々に再読(前回読んだときはまだ存命中だったはず)。心理ミステリー、時代小説、社会ミステリー、芸道小説、風俗小説、SF小説、青春小説、捕物帖、都会派恋愛小説、本格推理、私小説、ヒロイックファンタジーの12編。伊集院大介もグインも出てくる。いずれも読後の余韻が、栗本さんらしい。ぜひ復刊してほしい一冊。2016/07/28
カンパネルラ
2
12ヶ月に分けて、12種類の小説を書いている短編集。才能の広さがうかがえる。古典芸能からグインサーガまで、なにしろ幅広い。2008/06/11