内容説明
甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは…「祝辞」。銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした(私)を襲った突然の不幸…「夜離れ」。結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは?ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。微妙な女心を描く6つのサスペンス。
著者等紹介
乃南アサ[ノナミアサ]
1960(昭和35)年、東京生れ。早稲田大学中退後、広告代理店勤務などを経て、作家活動に入る。’88年『幸福な朝食』が日本推理サスペンス大賞優秀作になる。’96(平成8)年『凍える牙』で直木賞受賞。巧みな心理描写が高く評価されている
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感想・レビュー
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いつでも母さん
80
やっぱり乃南アサは巧いですね~短編集でこの高いレベルは凄いと思うなぁ。『女は怖い』って、つい思ってしまうのも無理はないですね~どれもとても怖いんじゃ無いのだ。それが却って私は『怖い』勿論こんな女ばかりでは無いさ。だが、心の隅に爪の先ほどの『黒い自分』はいないだろうか?死ぬまで女は女だろうさ。この先は分らないのだよ、ねぇそこの貴女・・・2015/08/12
tengen
71
乃南アサさん短編集。1話目、2話目とこれはギャグかと思いましたが、次から、恐るべし古豪アイドルファンの心理、髪に込める女性の思い入れ、浮気とすぐ決めつける短絡さなどはちょっと恐怖。普通の幸せを望んでるだけの比佐子の人生は少しせつない。☆彡 女性6人の心が壊れたり、壊れてゆく様を苦く見せられました。 でも同時期に出ている短編集「花盗人」に比べるとブラックさが少し不足。 4℃の恋/祝辞/青い夜の底で/髪/枕香/夜離れ2014/06/24
アッシュ姉
66
結婚して幸せを掴みたいと強く願うあまり、少しずつずれていく女たち。嫉妬、策略、執着、憎悪が渦巻く六つのサスペンス。さらりと読めて、ぞわりニヤりと楽しめた。そうこなくっちゃと黒い笑いを誘う「祝辞」と「髪」がお気に入り。実際にあったら怖いけど、小説の中では痛快で面白い。腹黒い感情を刺激される短編集。2018/03/12
きっしぃ
54
6作の短編集。6人の女たちの幸せになりたい、愛されたいという気持ちから起きてしまう悲劇。どの女も好きになれないから、結末はある意味痛快です。「夜離れ」がベスト、就職浪人してホステスの道を選んだ比佐子の感じる"あれ"という違和感。ホステスでいても、やめて会社員になっても、なかなか自分の思う幸せが掴めない不安感がよく伝わってくる…。巻末の解説はいつも読まないことが多いけど、こちらは興味深く読みました。ブラックなオチが好きな人にはおすすめできます♪2017/09/07
まさきち
48
6人の女性にまつわる短編集で、それぞれの女性の利己的で短絡的な生き方故に訪れる何とも後味の悪い結末で締めくくられる物語。そのためか読み終わって少々人間不信といわないまでも人の言葉・行いに注意を払いたくなるとともに自分の仲の闇にも目を向けなければと思わされた一冊です。それにしてもそれぞれの人物や周りの人々の描写でリアルに感じさせてくれる乃南アサさんには毎度のことながら脱帽です。2013/12/18