出版社内容情報
乃南 アサ[ノナミ アサ]
著・文・その他
内容説明
東京都下、武蔵村山市で占い師夫婦と信者が惨殺された。音道貴子は警視庁の星野とコンビを組み、捜査にあたる。ところが、この星野はエリート意識の強い、鼻持ちならぬ刑事で、貴子と常に衝突。とうとう二人は別々で捜査する険悪な事態に。占い師には架空名義で多額の預金をしていた疑いが浮上、貴子は銀行関係者を調べ始める。が、ある退職者の家で意識を失い、何者かに連れ去られる。
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- 評価
あむーる堂の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
422
音道貴子刑事シリーズの第3段。これまで(とりわけ第1回)は、攻めの貴子だったが、今回は徹底して守勢の貴子だ。しかも、上巻では半ばを過ぎるまでいたって地味な捜査が続く。現実の警察の捜査とは、ほとんどが無駄に終わる、そうしたものなのだろう。半ば過ぎで急転直下、物語は大きく動くが、このあたりは現実のリアルと物語的なリアルトが巧みに交錯して行くところか。乃南アサの巧みなところは、弛緩と高揚の兼ね合いの妙でもある。 なお、表題の意味は後半で明らかになる。ただ、このあたりはルメートルの手法に似ていなくもないが。2020/02/08
修一朗
125
「凍える牙」に続いて猟奇的な惨殺事件で始まる、これまた犯人にたどり着くまでが実に波乱万丈なサスペンスだ。バディを組んだ星野がまぁ使命感のかけらもない奴で、なんでこんな警察官がいるんだあっこれはそういういいかげんな奴と熱血音道刑事との闘いがテーマなのね,面白いけど「鎖」関係ないじゃん…て思っていたところが,急展開! ハラハラドキドキが止まらない。それにしても音道さんが吐露する不安と葛藤は等身大で,作中ずぅっと続く心象描写が真に迫っていてたまらんです。ぞくぞくしながら下巻へ…2016/08/07
yoshida
122
音道貴子刑事シリーズ第三作。拝み屋夫婦と信者夫婦が一度に殺害される。音道は本庁の星野と組み捜査にあたる。星野が幼稚な人物であり、本庁でも有名だった。公私混同甚だしく捜査もまともにせず。音道に袖にされ遂にはお互い単独捜査を命じる。単独捜査を余儀なくされた音道は薬を盛られ監禁される。上巻では星野の残念な人物に落胆する。単独捜査を強制されてからの急展開に一気に引き込まれる。展開の緩急のつけ方が巧みで読ませる。保身で嘘をつく星野。音道を探す捜査本部に加わるかつての相棒滝沢。音道の救出と事件の解決に向け物語が動く。2020/07/18
タックン
112
再読の音道シリーズ。始めはなかなか読みにくくて進まなかったけど途中から面白い展開になりどんどん進んだな。乃南さんはやっぱ心理描写が巧で凄い・・・あの最悪な相棒の星野さえもうまく料理してる。その星野のせいで音道がピンチに・・・。やっぱ題名でほとんどのネタがばれてしまうのが残念かなあ?滝沢さん登場で後半の大活躍が楽しみだな。今回のテーマはやっぱ銀行の架空名義・架空口座。2014/08/28
ehirano1
105
本書では皇帝ペンギンと貴子は別々のチームなのね・・・このコンビは今後の展開が結構楽しみだったので残念。今回は職務責任能力欠乏症および公私混同妄想症の星野とのコンビで敢無く撃沈の貴子。さあ後半どうするのか?2016/03/19