内容説明
川崎、熱海、焼津、田川…わずかな手がかりをもとに、萄子は必死に婚約者の跡を追った。やがて捜査から、ある男が重要人物として浮上するが、勝が逃亡する理由は不明のまま。勝への思いが消え入りそうな萄子だったが、当時米領の沖縄・宮古島に彼がいる可能性を大阪で知る。島でわかった慟哭の真実とは?’60年代の出来事・風俗をちりばめ、男女の一途な愛を描いた傑作ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさきち
82
被害者と思われたのぶ子の裏の顔が明らかとなり、事件の真相が徐々に韮山と萄子の前に晒されていく。そして最後に萄子は宮古島で勝と再会し、なぜ勝が彼女の元を去らなければならなかったかが明かされる。ただ事件の真相や真犯人自体はかなり早い段階で予想ができ、上下巻900ページの中で繰り広げられる話としては少々密度が薄く緩慢な印象を受けた話。むしろ東京オリンピックをはじめ実際の出来事を場面がまざまざと浮かんでくる乃南さんらしい文章を楽しんだ一冊。2016/12/13
セウテス
74
奥田を追いかける事で、時間が過ぎて往く事で、人はそれぞれ変わって行く。萄子が信じようとしても立場の違う人にとっては、全く信じられない事を事実と信じている。読んでいて腹が立ったり妙に納得したり、そんな繰り返しが読む手を急がせる。失踪の謎と殺人の謎、萄子の旅が真実を明らかにし彼女自身をも成長させる、そんな設定を期待した。しかし本作は違がった、むしろ憎しみに包まれていた、韮山の2年の歳月は、未来に希望を持たせるものだ。ラストでの萄子の心情は、必ずしも共感出来るものではない。それにしても、感情が伝わる文章が凄い。2017/02/28
くろにゃんこ
74
失踪した婚約者を追い、どんな遠くでも探しに行く萄子の想いの深さ、強さが凄い。やっとのことで辿り着いた真実はやはりなんともやりきれない。それでもここまで辿り着き、再会できたからこその新たな日常があるのだろうと思えて達成感も感じる読了でした。それにしても・・・淳という人は器が大きい。2015/06/14
ミーコ
69
上巻では萄子が不憫で 応援しながら読めたのですが下巻では やっぱり、所詮 お金持ちのお嬢様・・・と鼻に付く所がー。それでも真相が知りたくて、のめり込む様に読みました。 勝は何故、行方を眩ました?の真相には えっ?それが理由!となりましたが、それにしても勝の人生って…と、なってしまいました。1番、気の毒だったのは韮山さん 娘の実態を知る羽目になって のぶ子ばかりか奥さんまでー。ルミがいたからなんとか救われたけど… それにしても淳さんって出来た人! ドラマになりそうなストーリーでした。昭和が感じられました。2016/01/29
BlueBerry
68
追いかける旅の繰り返しで発展しなくてややウンザリ。中盤は大きなブタマンなのに具が少なくて皮ばかりとゆー大分冗長な印象です(笑。序盤とラストは良かったと思います。序盤○中盤△ラスト◎2014/05/19