新潮文庫<br> 芭蕉という修羅

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新潮文庫
芭蕉という修羅

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  • サイズ 文庫判/ページ数 312p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101419138
  • NDC分類 911.32
  • Cコード C0195

内容説明

「古池や蛙飛こむ水の音」の句を詠んで華やかな江戸文化人サロン注目の俳諧師となった松尾芭蕉。遂には「風雅の正道」と喧伝され、没後は朝廷から「飛音明神」の号を賜り、偶像化され神となった。しかし、その芭蕉にはもう一つの顔があった。水道工事監督、幕府隠密、イベントプロデューサー。それぞれに危うい博打を打ち、欲望の修羅を生きた「俳聖」の生々しい人間像を描き出す決定版評伝。

目次

水道工事が本業である
鞍馬天狗が大好きで
嘘つき芭蕉の誕生
デビュー戦「俳諧百韻」
埋木の謎
万句興行とはなにか
延宝八年の不吉な出来事
あだにやれゆく芭蕉葉
逆襲と戦略
乞食の翁は負けない
蛙飛こむ二十番勝負
鹿島凱旋
危険な旅へ
『おくのほそ道』とはなにか
見えないものを見る
そして欲望の都市を目ざす

著者等紹介

嵐山光三郎[アラシヤマコウザブロウ]
1942(昭和17)年、静岡県生れ。雑誌編集者を経て、作家活動に入る。’88年、『素人庖丁記』により、講談社エッセイ賞を受賞。2000(平成12)年、『芭蕉の誘惑』(後に『芭蕉紀行』と改題)により、JTB紀行文学大賞を受賞。『悪党芭蕉』が’06年に泉鏡花文学賞を、’07年に読売文学賞を受賞した。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

saga

59
著者の『芭蕉紀行』も読んだ。芭蕉=隠密説は、彼の出身地が伊賀であることから得心できることだ。江戸時代は日本国内を旅することは、現代の外国旅行と同じだったろう。特に「おくのほそ道」紀行は、隠密旅の緊張感が伝わってきた。また、貞享暦『天地明察』や土芥寇讎記『殿様の通信簿』といった既読本につながる話題が出て、更に芭蕉を身近に感じられた。2020/08/21

浅香山三郎

16
嵐山さんの本で芭蕉をテーマにした本は、すでに3冊、新潮文庫になつてゐる。前に出た2冊も読んだが、本書はそれらを踏まへつつ、まう一度、芭蕉の生涯を整理し直すといつたスタンスで、これだけを単独で読むと、さらさらと文章が移らふ気がしてくる。本書では、芭蕉と藤堂家のもつネットワークと水道工事について、俳諧のネットワークと隠密のネットワークの重なり合ひなどのテーマが補足されてゐる。嵐山さんの見立ての当否はともかく、芭蕉の文芸作品にある古典文学(源氏物語、西行等)を踏まへた含意の分析や、『おくのほそ道』の旅程を↓2020/06/09

ロビン

15
『悪党芭蕉』執筆から11年経った頃に書かれた本書では、前書より更にディープに、さらに詳細に芭蕉の生涯が描き出される。相変わらず実に良く調べてある。中晩年の枯淡な作風とは全く違い、芭蕉のイメージを変えるデビュー作『貝おほひ』についてもちゃんと書いてあるのが偉い。芭蕉といえば『奥の細道』であり、そのイメージだけで芭蕉を見てしまうが、江戸に出たての頃は水道工事をしてお金を稼いでいたのだ。また、東照宮再建にともない伊達藩の内情を探る隠密の旅としての『奥の細道』についても大いに紙幅が割かれていて、読み応え十分。2024/10/13

fseigojp

12
やっと読了 俳句はむつかしい 悪党芭蕉へつづく2020/03/26

アメヲトコ

11
2017年刊、19年文庫化。06年の『悪党芭蕉』の続編的位置づけです。嵐山さんの描く芭蕉は高みで取り澄ました「俳聖」としてではなく、あくまでも現実世界と血みどろの格闘をして生きる生々しい人物で、そこが魅力的です。人口に膾炙した「古池や」の句の解釈が新しく、風景が変わって見えます。2020/01/09

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