内容説明
日露戦争で満州軍参謀として日本の命運を担い、後に昭和の宰相となった田中義一。幕末に駕籠かきの悴として生まれた彼は、立身の手段として軍人の道を選び、近代国家の歯車となって生きることを決意する。義一は軍事大国ロシアの内情を探ることを命ぜられ、ペテルブルグに赴いて情報収集の秘密任務につくが…。明治の男の強烈な上昇志向と自己実現の軌跡を辿る書き下ろし長編小説。
感想・レビュー
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さっと
5
駕籠かきの息子から総理大臣にまでのぼりつめた田中義一の半生。陸軍参謀として参戦した日露戦争がクライマックスとなる。山県や伊藤ら長州出身の維新志士たちの一つ下の世代の人物が主人公ということで、そこらのつてをたよらずに貧しい家から軍人としてのしあがっていく様に圧倒された。日露戦争前に、長いことロシア国内の諜報活動をしていたとは知らなかったなぁ。開戦まで持ち込んだ嘘っぱち「六列車事件」に象徴されるように何と綱渡りな戦争だったのだろう。2013/02/20
ホレイシア
4
長州、いや山口出身の総理大臣、田中義一を描いた本です。萩の町に馬鹿でかい銅像が立ってますぜ。2008/01/01