新潮文庫<br> たそがれ色の微笑

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新潮文庫
たそがれ色の微笑

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  • サイズ 文庫判/ページ数 235p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784101405087
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

15年前、わずか一年で結婚生活に失敗して以来、ずっと独り身を続けてきた47歳の女性弁護士撩子。大学時代の友人に連れられていったホスト・クラブの化粧室で、撩子は、突然、唇を奪われた。相手は爽やかな笑顔の青年宮島ヒデジ。彼女は、ヒデの境遇を聞くうちに麻疹にかかったように、彼に一目惚れをしていた…。表題作を初め、大人の愛のかたちを描く5編を収める短編集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あつひめ

64
大人になるとは、とてももどかしくてほろ苦くて…切ないことの方が多いことを思い出させてもらった。そして誰かを愛おしいと思う感情が心の底にフツフツと湧き上がった時、もう子供には後戻りできない心の成長が進んでしまっているのかもしれない。忘れた感情を蘇らせてくれた静かで穏やかなストーリーだったと思う。2018/01/07

90ac

37
89’の作品。「金色」の午後の光、胸に飾った「白い」花、「水色」のブラウス、など連城さんお得意の“色”物作品です。人生にたくさんある分岐点でどちらを選択すれば幸福なのか。五つの作品に共通するところです。「三角関係」の行く末も面白いし、「ホストに惚れた中年女」のラストは小気味良いような切ないような。「両親の離婚」でどちらに付くか悩む少年もいじらしく、ホッコリするようで気に入りました。第五話はまるで狐の童話のようですが、やはりどちらが幸せかを考えるお話です。2015/08/17

とし

18
普通の日常生活の中でおきる恋愛小説集。ミステリーの巨匠が描く小説はどこか甘美な感じがしました。5つの短編が収録されていますが、特に表題作が印象的でした。40代後半の女性弁護士が主人公です。仕事では成功をおさめている彼女ですが、友人に連れられて行ったホストクラブで若い青年と恋に落ちます。仕事とは違い、不器用ながら男性に想いをよせていきます。ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ハッピーエンドとは言えない結末でありながらどこか爽快感がありました。全編を通じて何気なくすごす日常は素晴らしいのだなと思いました。2017/01/12

るか

17
★★★★☆短編5編。全体を通して、美しいがどこか寂しげな比喩と、終盤の意外な展開にグッと心を掴まれる。お気に入りは「白蘭」。30年ほど前に一世を風靡したある漫才コンビについて、第三者の語りで構成される。テンポの良い関西弁が最後のセリフの寂しさをより一層際立てていた。コンビ間の情念が気迫に満ちて痛々しいほど切ない。今までに読んだことのないものを読んだ気分で、頭を殴られるような衝撃を受けた。風鈴の音に合わせて、藩一が松葉杖で寝ている県太を小突くシーンが印象深い。2016/12/22

harukawani

9
ミステリー要素もあるにはあるけど、これはもう完全なる恋愛小説集だと思う。そして、これまた傑作なのである。「白蘭」は漫才コンビが主役という異色作で、大傑作。ミステリーとしても面白いけど、凄いのはそこじゃなく、痛々しく苦しくなるほどの情愛。最後まで読んでから最初に戻ると、暗喩にぐっとくる。しかしまぁこの「白蘭」だけではないところが連城三紀彦の連城三紀彦たる所以。他の4作も傑作。特に好きなのは「水色の鳥」かな。ミステリー要素はほぼゼロと言ってよく、青春ものにふさわしい淋しさと希望が入り交じるラストが素晴らしい。2014/10/10

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