内容説明
岡場所上がりの継母と継子のすれ違い(「おっ母、すまねえ」)。妹弟から冷たい仕打ちを受ける行き遅れの長女の行く末(「邪魔っけ」)。料理屋に奉公した十七の娘とワケありの老父とに降りかかる難儀(「左の腕」)。元芸妓の女房を持つ棒手振り魚屋の定次郎は、実は大店の次男坊(「釣忍」)。病弱な八つの娘のいる畳職人は高額の薬代を稼ぐために…(「神無月」)。感涙必至、傑作人情時代小説五編を厳選。
著者等紹介
池波正太郎[イケナミショウタロウ]
1923‐1990。東京・浅草生れ。「錯乱」で直木賞受賞
平岩弓枝[ヒライワユミエ]
1932(昭和7)年、東京生れ。『花影の花』で吉川賞受賞
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。福岡県小倉生れ。『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903‐1967。山梨県生れ。『日本婦道記』が直木賞に推されるも辞退
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960(昭和35)年、東京生れ。『火車』で山本賞、『理由』で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
274
風邪で寝込んだ身には、軽いアンソロジーを...ということで手にしてみた。なんという豪華ラインアップ!読み終わって、この総合タイトルがしみじみしてくる仕組み。『釣忍』のふたり、いつまでも仲良く、ね。2017/01/10
おしゃべりメガネ
190
そもそも時代小説をあまり読んでいない私ですが、赤松さんの『藻屑蟹』に登場した時代人情モノのアンソロジーで、この無敵?ともいえる豪華ラインナップのレジェンド達の作品となれば嫌がおうにも期待が高まります。そして勿論言うまでもなく、それぞれの作品の完成度の高さは圧巻です。単純に当たり前な展開でお涙頂戴ではなく、話をシリアスにどんどん落としていってからの、最後の最後でしっかりとホロリとさせてくれる手腕はさすがとしか言いようがありません。こういう作品って、この先何年経っても永遠の名作として語りつがれるんでしょうね。2019/06/02
いつでも母さん
185
積読消化はこの作品から。親と子、家族ならではの想い。この豪華作家陣に酔いしれる。短編だがどれも良くて流石です。なかでも池波作家の結び方が沁みる。秘して花な感じ。そして、宮部さんも好い。逃げ切って~と心から願った。それにしても私・・どうしてこれを積読にしてたんだろ(汗)2020/03/02
KAZOO
159
時代小説ものアンソロジー3冊目です。この中にはやはり5人の作家の人情に絡む小説が収められています。池波正太郎、平岩弓枝、松本清張、山本周五郎、宮部みゆきの諸氏です。池波さんの「おっ母、すまねえ」はどこかで読んだ覚えがあります。松本清張の「左の腕」はやはりミステリー仕立てです。宮部さんの「神無月」もどこかで読んだ覚えがあり、私はこの中では比較的好きなほうです。2016/01/12
いこ
97
親子間の愛情を描く5編。執筆陣は、文壇の大御所ばかり。私の初読作家さん3人。恥ずかしい。でも、今回、読みやすい短編で触れられて感謝。 ①池波 苦界から出て、前妻の子を可愛がって育てた女のその後。②平岩 父を手伝い、働き者と評判の長女に、弟妹の不満が爆発。③松本 料理屋で働く父娘。父の抱える秘密とは?④山本 元芸妓の亭主は、出自を偽っていて…。⑤宮部 父子二人きり。子は8歳で寝たきり。薬代の為に父がとった行動は…。 現代は、我が子を手にかけるような親も多い。昔の方が、親子の絆が強かったように思った。良書。2023/01/18