感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
399
バッハの生涯と主要作品を簡便にたどれる1冊。アイゼナッハに生まれ、その生涯をドイツ各地に転々としたバッハ。実際の行動自体は地味であったかもしれないが、彼の残した音楽からすればまさに波乱万丈の生涯だったか。随所に写真も入り、感情移入もしやすいバッハ入門書。ライプツィヒの聖トマス教会のオルガンの写真などを見ると、魂が共鳴するような心地がする。そしてあらためてバッハの凄さ、偉大さに感嘆する。10人の音楽学者や演奏家のショートエッセイも付されていて、それぞれのバッハ頌を読むにつけ、ああバッハだと思う。2020/10/22
TSUBASA
22
バロック時代を代表する音楽家にして数多くの音楽の源流にもなったバッハの生涯を綴った伝記。当時の史料や建築、関連人物の肖像や風景画などがカラー写真で収められている。史料が限られているため推測調が強いのと、背景なんかが馴染みがなくてイメージつきにくかったのが残念。とはいえかの大作曲家の生涯を追うことはできた。今の時代まで通ずるような音楽、技法などを数多作り上げた人なのに生前は諸々不遇で今ほど大きな評価はされなかったんですね。多少は曲を知ってると思ったけど、大半が宗教音楽なのでわからんのが多かった。2019/07/23
ひと
11
バッハが生きた時代や作品が生まれた背景が、街や教会などのカラー写真とともに解説されていて、素人ながら興味を持って読むことができました。多作なのは知っていましたが、カンタータの多さとバッハの作曲の勢いに圧倒されました。芸術家というより仕事の鬼のようなイメージでした。生前は今ほど作曲家としての評価が高くなかったことにも驚き。天才が評価されるにも、その素晴らしさを見出す歴史の巡り合わせが必要なのですね。ましてや、凡人が正当な評価を得られないなどと愚痴っていても意味はないのかもしれません。2017/04/10
けろ
10
バッハの生涯を豊富なカラー写真で展開していく。演奏家等十人のエッセイ、一族の系図、年譜、作品表も付き、コンパクトながら満足のいく書。中部ドイツ各地にバッハを名のる一族が栄え、「バッハ」は「音楽家」とほぼ同義語に用いられたが、それは同族結婚が多かったから。音楽家は17cに至るまで市民階級より低い地位であり、社会的アウトサイダーとしての性格から強い結束をもたらしたとか。2020/11/14
クナコ
8
再読。大学時代以来の再読。最近読んだ作曲家関連の書籍でバッハの略歴に触れており、懐かしくなりまた手に取った。偉大なバロック音楽家の生涯とその末の影響についてざっと学べる。正直章末に差し込まれる現代音楽家・演奏家によるバッハ体験談は本の流れを阻害するので無用と思うが、バッハの音楽や練習曲に苦手意識のある練習生などの興味を惹くには良いのかもしれない。この本を手に取っている時点で、既にバッハに興味のある読み手しかいないとは思うが。バッハ(小川の意)を大海(メール)と呼んだベートーベンは良い言葉を残したものだ。2024/10/12