内容説明
琉球の布への夢に憑かれて、著者は島から島へと旅をし、沖縄本島でも南から北まで歩いた。そして染織の根気のいる仕事を成し遂げ、その生活を支えてきた女たちの手仕事の実際を知り、問わず語りに、沖縄戦の苛酷な体験を聞く。琉球の布を訪ねて旅することは、作り手たちが背負っている人生を訪ねることだった―琉球の布と作り手の物語を、きものを愛する著者が愛情をこめて綴る。
目次
首里の紅型
読谷山花織と手巾
奄美大島紬
久米島紬
宮古上布
喜如嘉の芭蕉布
八重山上布
琉球藍
与那国織
琉球絣
首里織
逢えなかった人 大城志津子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y.yamabuki
8
澤地さんが沖縄各地の染織作家を訪ねたエッセイ。離島も含めて本当に多くの織りや染めが有る。どれも手間と根気のいる仕事であり多くは一度廃れたものを戦後苦労して復活させたもので、それらを愛情溢れる、優しい筆致で描いている。どの布も沖縄の歴史を背負っていることが、良くわかった。献上品として発展していった物や税として織り継がれた物。そして戦渦、押し寄せてきた化学繊維。 今また、伝統に新しい試みが加えられ発展しているのが、嬉しい。是非とも様々な染織の布を実際見てみたいと思う。2019/07/02
とまと
7
染物・織物とそれらを作り出す人たちへの尊敬、愛情、こんなに良いものが消滅せずに守り続けられていって欲しいという気持ちが伝わる。戦争などで一度は廃れた織を復元する職人たちのストイックな生き方にほれぼれする。写真が豊富で、伝わってくる美しさにうっとりしながらも、実物が見られないことを歯がゆく思う。沖縄の、ここに紹介されているだけでもこんなに多くの種類の織物があると知った。紅型はぜひ実物を見てみたい。2013/04/28
シェラ
5
素敵な一冊でした。沖縄の人々の過酷な背景の中で、こんなに丁寧な技術があったなんて…。手に取ってみたくなります。2016/12/15
あけの
3
花倉織……着てみたい2021/10/09
さんとのれ
2
独自の美的センスと高い技術で作られる琉球の織物を、その作り手の人生と重ねながら追っていく本。度重なる苦難を黙って受け止め、しかし自分の立つところは決して譲らない琉球の職人の強さはすごい。戦争や時代の流れの中で一度は廃れた技術もあるが、こういう人たちの努力によって復活している。2015/12/23
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