新潮文庫
夜明けの橋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 293p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101387413
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

首都建設の槌音が響く江戸の町で、武士を捨てることを選んだ男たちの慎ましくも熱い矜持を描く。傑作連作短編集。

首都建設の槌音が響く江戸の町。名の聞こえた武辺の人でありながら、訳あって脱藩した父を持つ宗五郎は、父の死後、町人となり刀の目利きで生計を立てていた。ある日、父の旧知へ刀を届ける道中、行く手を不穏な侍たちに囲まれる(「日照雨」)。日本橋建設に紛れ込んだ少年吉之助が、蠢く時代の中で見たものとは(「日本橋」)。他、運命に果敢に挑む人物たちを捉えた連作短編集。

内容説明

首都建設の槌音が響く江戸の町。名の聞こえた武辺の人でありながら、訳あって脱藩した父を持つ宗五郎は父の死後、町人となり刀の目利きで生計を立てていた。ある日、父の旧知へ刀を届ける道中、行く手を不穏な侍たちに囲まれる(「日照雨」)。日本橋建設に紛れ込んだ少年吉之助が蠢く時代の中で見たものとは(「日本橋」)。移り変わる世にあって、運命に挑む群像を捉えた連作短編集。

著者等紹介

北重人[キタシゲト]
1948‐2009。1948(昭和28)年、山形県生れ。山形県立酒田東高等学校、千葉大学工学部建築学科卒。LAU公共施設研究所を立ち上げ造園・都市計画コンサルタント業務に携わる傍ら小説を書き続け、’99(平成11)年「超高層に懸かる月と、骨と」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。2004年、松本清張賞候補作『夏の椿』で本格デビュー。’07年『蒼火』で大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

真理そら

68
再読。徳川の世になって戦の時代が終わり、もののふとして生きてきた人たちがこれからをどう生きるかを、江戸の町が作られていく様子とリンクさせながら描いている。世の中の変動による0からのスタート独特の活気がある。こういう活気は明治のはじめと似ている気がする。この連作は7話完結の予定が作者逝去のため5話しかない…もっと読みたかった作家だった。2020/03/16

はつばあば

46
江戸がどのように大きく開けたのか、武士が如何様に武士を捨てざるを得なかったか。時代に奔流され武士を捨てた人生を、一瞬で崩れ落ちる様が痛々しい。かと思えば商人として生きることに華やかさを得た者も数多い。江戸が大きく発展していく様を、戦に明け暮れた日々と重ね合わせ、普請の喜びが随所に見られる。周五郎さんが活躍されている頃、周平さんが頭角を現された時、周平さんは「周五郎さんは読んだ事が無い」と言われた時、なんと大人げないと思いましたが、北さんも「周平さん2世」と取り沙汰されましたが建築家としての要素が味わい深い2015/06/19

エドワード

22
1590年、豊臣秀吉が北条氏を下し、徳川家康が江戸へ入る。小さな町だった江戸は大きく開けていく。関ヶ原、大坂の陣、戦の無い泰平の世を、武士たちは如何に生きたのか。江戸は天下普請だ。海を埋め立て、丘を切り崩す。木、石、米、魚、酒、圧倒的に足りない物資。その運搬を担ったのは商人、職人へ変わった武士たちだ。その実直で誇りにあふれる姿は「日本橋」に顕著に描かれる。激変する時代は世情不安でもある。盗賊を捉える「与力」、殺伐の気風やまぬ「日照雨」の無情。江戸の夜明けを生きた元武士たちの悲喜こもごもが胸に迫り感無量だ。2024/01/04

ひさか

22
小説新潮2008年8月号:日照雨、11月号:日本橋、2009年5月号:梅花の下で、2月号:与力、8月号:伊勢町三浦屋、の江戸開府の時代を描いた5つの短編を2009年12月に新潮社から刊行。2012年4月新潮文庫化。江戸時代へ変わろうとする頃の人々のことが描かれていて、興味深いです。戦う人であった武士達のその時代への対応が面白い。「日本橋」が、橋の普請に関わる覚悟と対応の話で心に残ります。「日照雨」、「梅花の下で」は、いずれも切なく哀しい話でした。2021/05/10

楽駿@新潮部

12
読書会仲間本。時代物でも、女性作家さんのばかり最近読んでいたので、男性の視点はなるほど、こうなるのかと納得。時代は、どれも江戸時代でも初期。武士と、いうか、男性のプライドの在り方について考えさせられる。混沌とした世の中から、安定した世になると、武士は多くは必要がなくなる。武士でなく、生きていくために、別の生き方を選ぶ者、選ばざる者、武士としてしか生きられぬ者。時代が変わると言う事は、人の生き方も変わると言う事なのだ。必至で生きている者には、プライドなんて後からついてくのだから、こだわる必要なんてない。2016/07/09

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