出版社内容情報
死の影に魅了された幼馴染の由美。若き魂を奮い立たせ、薫は全力で由美を護り抜く――。静謐でみずみずしい青春文学の金字塔。
淡い春の闇の中で、由美が突然ぼくに頬を寄せてきた。あの生意気で近寄りがたい女友達が、一体どうしたんだろう。まるで「白鳥の歌」に耳をすますように息をひそめ、滅びゆく生に魅了されていく由美。そして本来の彼女を取り戻そうとする薫の戦いは、限りないやさしさを求める「男の子」の、希有な恋物語を作っていく。切ないほど静かで、不思議に激しい、現代青春文学の金字塔。
内容説明
淡い春の闇の中で、由美が突然ぼくに頬を寄せてきた。あの生意気で近寄りがたい女友達が、一体どうしたんだろう。まるで「白鳥の歌」に耳をすますように息をひそめ、滅びゆく生に魅了されていく由美。そして本来の彼女を取り戻そうとする薫の戦いは、限りないやさしさを求める「男の子」の、希有な恋物語を作っていく。切ないほど静かで、不思議に激しい、現代青春文学の金字塔。
著者等紹介
庄司薫[ショウジカオル]
1937(昭和12)年東京生れ。日比谷高校を経て、東京大学法学部卒。’58年、『喪失』(本名の福田章二で執筆)により中央公論新人賞受賞。’69年『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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遥かなる想い
83
実は庄司薫の本を最初に読んだのは、『赤頭巾ちゃん・・』ではなく本書だった。物語に出てくる由美ちゃんとのからみが、いかにも青春でまぶしかったような記憶がある。昭和の青春物として、今でも懐かしい香りがする。2004/01/01
Greatzebra
31
私の母親と同年齢の作者が書いた、私の息子と同年齢が主人公の小説。しかも、内容が死について。赤頭巾…は若い頃読んだが、これは初読。もっと軽薄な小説だと思って読み出して、意外にも重い内容で、考えさせられた。それにしても、昔の若者は回りくどく思索に耽っていたのだろうなあ。スマホもないし、電話はかかってくるかもしれないから、家に帰らないといけなかったんだもんな…気がつけばスマホをいじってる自分も含めた今の人は不幸なのかもしれない。2018/11/11
ステビア
21
去年読んだときは「『白』は異色作」てなことを書いた気がするけど、今回読んでみて四部作は一貫したテーマで書かれてるんだな〜と思い直した。この作品は全体に優美で甘い死の香りが漂っていていいですね。書くもん全て傑作、さすが庄司薫!2015/04/18
ステビア
16
『どくとるマンボウ青春記』ですね。余韻がたまらん。2014/04/01
yamatoshiuruhashi
16
「あわや半世紀のあとがき」だけでも読んでみろと友人が全四部を貸してくれた。あとがきよりも解説が紫門ふみだったのに惹かれる。彼女が全く同学年だったのは初めて知った。本書で、昭和25年生まれの主人公たちが、今が青春の悩みに関する自分たちの時代、というようなことを少し上の世代だと思って初めて読んだのに、もう、遥かな後の世代の世の中になってしまった。こうして名もなき人間の歴史は飛んでいく。2012/10/09