出版社内容情報
男の子いかに生くべきか。戦後民主主義とは、真の知性とは何か。日比谷高校三年の薫くんの一日を描く、現代青春小説の最高傑作。
男の子いかに生くべきか――。風邪をひいて、万年筆を落として、東大入試は流れるという災難に見舞われた日比谷高校三年の薫くん。そのうえ十二年も飼ってきた犬に死なれ、左足の親指の爪まではがしてしまった。幼馴染の由美とはささいなことから仲違い。踏んだりけったりのスタートを切った、薫の一日は……。戦後日本の価値観の揺らぎに肉薄した、現代青春小説の最高傑作。
内容説明
学生運動の煽りを受け、東大入試が中止になるという災難に見舞われた日比谷高校三年の薫くん。そのうえ愛犬が死に、幼馴染の由美と絶交し、踏んだり蹴ったりの一日がスタートするが―。真の知性とは何か。戦後民主主義はどこまで到達できるのか。青年の眼で、現代日本に通底する価値観の揺らぎを直視し、今なお斬新な文体による青春小説の最高傑作。「あわや半世紀のあとがき」収録。
著者等紹介
庄司薫[ショウジカオル]
1937(昭和12)年東京生れ。日比谷高校を経て、東京大学法学部卒。’58年、『喪失』(本名の福田章二で執筆)により中央公論新人賞受賞。’69年『赤頭巾ちゃん気をつけて』で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
204
優等生だって性欲はあるし心の中に狼だっている。当時移ろいつつある社会とすの価値観の変化。大学紛争で東大の入試も中止。古い時代の優等生が新しい時代に面食らう姿。青春の一瞬を美しく切り取った。それにしても、村上龍さんや石原慎太郎さんの描く主人公とはなんという違いだろう。読者を友達として語り掛ける目線の高さは、最近のライトノヴェルを想起させる。absintheが生まれた年の芥川賞。 2021/08/27
おしゃべりメガネ
196
いや、久しぶりに手強かった1冊でした。とある作品で作者さんの作品が扱われていて、気になり手にとりましたが、とにかく読むのにこんなに苦労した作品は過去、あまり記憶にないかもしれません。ボリュームは200頁弱ですが、とにかく文字数がビッシリで、ひたすら主人公(作者?)の思いが、止めどなくノンストップで綴られており、500頁分ぐらいの作品を読んだぐらいの読了感です。シリーズものらしく、あと3作と続くようですが、なんとか他の作品にもチャレンジしたいと思います。読む人の年代によって、印象が大きく変わるんでしょうね。2017/05/12
ゴンゾウ@新潮部
125
確か高校の時に読んだ作品。童話のような柔らかいタイトルだが中味は全く違っていたのを憶えている。柔らかい独白文であるが、東大入試と言う目標を失った少年の心の葛藤がとてもよく描かれている。思春期という多感な時期に学生運動により社会の価値観が変わる中、周囲や自分に対する怒りや揺らぎを時には感情的に時には冷静に描いている。発表時は賛否両論あったが若者の支持を得た作品だっと言うのもうなずける。2016/01/03
シナモン
115
読みにくかった~。かなりパラパラ読みになってしまったけど、こういう読書時間もまた良し。2023/06/08
zero1
113
文学は次の世代が破壊することで発展する。芥川賞受賞作だが、委員たちの選評を読むと本書の衝撃度が分かる。50年前の作品なのに、現代にも通じる部分がある。そればかりか多くのことを学べる。学生運動が盛んで東大入試が中止となった年。主人公の薫は名門、日比谷高校の学生。愛犬の死、幼馴染との絶交、足の親指は爪がはがれる。性の葛藤。驚くべきは語彙や教養が今の大学生より数段高いこと。我々の文化水準は縮小再生産なのか?本書に限らず昔のベストセラーを読むのが怖い。2019/01/07
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- 和書
- 尖閣1945