出版社内容情報
盲目の女の子とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉を、庭の植物が四季を、鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり……それから何年経っただろう。壮絶な孤独の闇を抜け、とわは自分の人生を歩き出す。おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭。盲導犬ジョイと切り拓いた世界は眩い光と愛に満ちていた。涙と生きる力が溢れ出す感動長編。
内容説明
盲目の女の子とわは、大好きな母と二人暮らし。母が言葉を、庭の植物が四季を、鳥の合唱団が朝の訪れを教えてくれた。でもある日、母がいなくなり…それから何年経っただろう。壮絶な孤独の闇を抜け、とわは自分の人生を歩き出す。おいしいご飯、沢山の本、大切な友人、一夏の恋、そしてあの家の庭。盲導犬ジョイと切り拓いた世界は眩い光と愛に満ちていた。涙と生きる力が溢れ出す感動長編。
著者等紹介
小川糸[オガワイト]
1973(昭和48)年生れ。2008(平成20)年、『食堂かたつむり』でデビュー。多くの作品が英語、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、イタリア語などに翻訳され、様々な国で出版されている。『食堂かたつむり』は、’10年に映画化され、’11年に伊バンカレッラ賞、’13年に仏ウジェニー・ブラジエ小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さてさて
254
『目が見えない』という主人公のとわが母親と暮らした「とわの庭」のある家から『新しい人生』へと歩み出していく先が描かれたこの作品。そこには『見えない』という日常をプラスに捉えていくとわの姿が描かれていました。『聴覚や嗅覚、触覚など他の感覚を駆使』したリアルな感覚が描かれたこの作品。衝撃の前提設定がとわの前向きな姿勢に衝撃でなくなっていくこの作品。闇の中を彷徨う前半の物語と、眩い光が指すあたたかい後半の物語の落差を感じる物語の中に、『目が見えない』とわの日常を丁寧に描き出した小川さんの上手さを見る作品でした。2023/11/07
あすなろ
120
小川氏の描く生きるという事。生は優しく温かく明るく、そして救われるものだと自然を書き込みながら告げてくれる。改めてそれを気付かせてくれた本作。正直、リムジン…よりこちらの方が僕には胸迫ったのである。自然や人に揺蕩う様な温もりを感じ、生きている事を喜べ希望を持たされながら落涙するという小川氏の描写する生がここにある。壮絶な幼少であったとわが生き延びて救われ立ち上がって行く様と共に頁を捲らせる。とわ改め十和子の今後に幸あれと願わぬ読者は居ないであろう。読んで良かったと今後も記憶に強く残る筈の一冊であった。2025/03/29
リトロ
91
新潮文庫の100冊、2023年から。盲目であっても十和子なりの感じ方で、例えば匂いとかで世界を感じている。前半の暗くどこへ向かうのだろうという物語に反して、後半は十和子を支えてくれる存在が沢山現れる。いつだってとわを支えてくれたのはとわの庭の植物の香り、そして盲導犬のジョイやすずちゃんやマリさんだった。屋根裏のローズマリーはどうなったのかとか、ワンピースは結局何色だったんだろう?と気になる部分も残しつつだったが、生きることの素晴らしさを教えてくれる素敵な本でした。2023/09/14
あきぽん
90
とにかくヒロインの純真さが胸をうつ。「酷い」境遇で育った彼女の幸せ感度は何と尊いことか。心が美しければ、世界は美しい…かつて貧しく障がい者だが彼女のように純真無垢な友人がいた。そして母と2人暮らしが長い自分には、来るべき日についていろいろ考えさせられる。2024/07/30
ゴルフ72
80
壮絶だった10歳から25歳までの日々、盲目のとわにとって不安ということすらわからなかったのではないか!しかし15年間をどう過ごしたのか・・・そこは少し違和感を感じたが、救出されてからの感じる幸せに過去がすべて洗い流されたように思う。光のない世界でにわだけが光ある世界だった。そんな物語でした。2023/12/15
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- 和書
- つながらない練習