内容説明
ひとたびモーツァルトの音楽の美しさにとりつかれると、二度とその魅力からのがれることはできない。限りないやさしさと慰めに満ちたモーツァルトの音楽こそは、神が人間に与えた贈り物である。―多数の貴重な写真を駆使して、稀有の天才35年の生涯をたどったオリジナル・カラー文庫。年譜、作品表、および第一線の音楽家によるモーツァルトへのオマージュ12編を付す。
目次
遊び心の街
神童がやってくる
オペラの国イタリアへ
宮仕えの青年作曲家
若者はさすらいの旅に出る
故郷との訣別
輝けるウィーンの日々
奔出する創作力
プラハからの招待
重みが浮かび、軽みが沈む
失意と窮迫の中から
燃え尽きる一年
モーツァルトは生きている
著者等紹介
田辺秀樹[タナベヒデキ]
1948(昭和23)年、東京生れ。東京大学大学院ドイツ文学専攻科修了。現在一橋大学大学院言語社会研究科教授として音楽文化論、ドイツ語等を担当する一方、音楽評論、放送番組解説でも活躍。日本リヒャルト・シュトラウス協会事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タミイ
5
先日、映画「アマデウス」を映画館で数十年ぶりに観て改めて感動し、モーツァルトの生涯をざっとおさらい。幼少期から神童と呼ばれ華やかな名声を一身に受け、今も世界中で愛聴される名曲の数々を生んだ天才作曲家がなぜ晩年、仕事にも恵まれず生活苦のうちに早逝しなければならなかったのか。晩年の苦境が想像できないほど、変わらず明朗で優美な作品を最後まで書き続けていたことの凄さに切なさが増す。不滅の名曲以外、遺産も子孫も残すことなく流星のように輝いて、わずか35年で消えた天才の魂に永遠の安らぎあれ。2016/07/25
りゅっく
4
クラシック音楽には興味はあるのだがいかんせん知識がなく、興味をもつととにかく人生から入りたくなる。本書は写真がふんだんに使われておりとても読みやすい作品でした。1987/06/01
ふみすむ
4
モーツァルトにまつわる都市のカラー写真や人物の肖像や書簡を添えつつ、その生涯をたどる伝記。5歳で作曲を始めたザルツブルクの神童は、6歳から欧州を巡業する。シェーンブルン宮殿で神聖ローマ皇帝フランツ1世と女帝マリア・テレジアの御前で演奏し、ドイツ各地の宮廷や城館、パリのヴェルサイユ宮殿でも天賦の才を披露する。王侯貴族の注文に応じて作曲し、繊細優美なロココの時代を築いたモーツァルトは、借金と病苦に苛まれながら、奇しくもフランス革命の最中に、宮廷文化の爛熟したこの華麗なる世紀と心中するかのごとく息を引き取る。2019/11/18
かりん
3
3:ミュージカル「モーツァルト!」の背景知識補強に…と思ったが、史実を踏まえた作品だったので大差なかった。フィガロと魔笛は魅惑のオペラシリーズで観たことあるので、次はコシ・ファン・トゥッテを観たくなった。■ぼくは断言しますが、旅をしない者は(少なくとも芸術や学問にたずさわる人々の場合は)実にあわれむべき存在です。……凡庸な人間なら、旅をしようとしまいと、しょせん凡庸なままでしょう。しかし優れた才能の持ち主は、いつも同じ土地にいたら駄目になってしまいます。2010/12/25
りんご
2
モーツァルトの人生って、こんなんでしたか、知らなかった。先日読んだ「ジャン・クリストフ」に通じるものがある。改めてモーツァルトの曲を聴きます2023/10/04