内容説明
ごめんくださいまし―。宝永七年の初夏、下野北見藩・元作事方組頭の家に声が響いた。応対した各務多紀は、女が連れていた赤子に驚愕する。それは藩内で権勢をほしいままにする御用人頭・伊東成孝の嫡男であった。なぜ、一介の上士に過ぎない父が頼られたのか。藩中枢で何が起きているのか。一夜の出来事はやがて、北関東の小国を揺るがす大事件へと発展していく。作家生活三十周年記念作。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960(昭和35)年、東京生れ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。’89(平成元)年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞。’92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞を受賞。’93年『火車』で山本周五郎賞を受賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞を受賞。’99年には『理由』で直木賞を受賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、’02年には司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)を受賞。’07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
179
宮部さんの最新刊の文庫を読み始めました。3分冊です。最初は「孤宿の人」と背景が似ているなあと感じていたのですがどちらかというと三島屋シリーズの方に近いのでしょうか?上巻は登場人物の紹介やその事件の背景を説明している部分が多いと感じました。ただいつもながらこの作者の語り口は物語に引き込んでいってくれます。2019/12/19
よむヨム@book
111
★★★★☆ 星4つ 久々のエスパーものかと読んでいったら様相が違ってきた。 やはり、宮部さんの文章のリズムは私に合っている。 兎に角、面白くてページが進む。 早速、次の巻へ.....2022/01/19
アッシュ姉
109
上中下巻に怯んでしばらく寝かせていた宮部さんの時代小説。最初だけページを行きつ戻りつしたが、非常に読みやすくて上巻は一気読み。放心乱心を繰り返す若き藩主が強制隠居させられた。錯乱の原因は憑きものか、それとも今でこそ知られるあの病か。さすがのリーダビリティ。もっと早く読めばよかった。気になってたまらん!急いで中巻へ。2021/10/07
ふう
99
登場する人々が皆それぞれの立場で事情を抱えていますが、誠実で勤勉、そして思慮深く暮らしています。それなのに、人知を越えた何かに振り回され、望まぬ事件に巻き込まれていく…。「何か」が、本当に人の力の及ばぬものなのか、それとも人の心の闇に潜むおぞましさが為せるものものなのか。謎が投げかけられて「中」へと続きます。2020/02/19
goro@the_booby
91
感想は下巻読了後にしますが、この物語がどこに向かうのかまだ判然とはしませんが、あれよあれよと五香苑に連れてこられた多紀の運命はどうなるのかと中巻へ。2021/07/10