内容説明
北は瀬戸内海に面し、南は山々に囲まれた讃岐国・丸海藩。江戸から金比羅代参に連れ出された九歳のほうは、この地に捨て子同然置き去りにされた。幸いにも、藩医を勤める井上家に引き取られるが、今度はほうの面倒を見てくれた井上家の琴江が毒殺されてしまう。折しも、流罪となった幕府要人・加賀殿が丸海藩へ入領しようとしていた。やがて領内では、不審な毒死や謎めいた凶事が相次いだ。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960(昭和35)年、東京生れ。’87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。’89(平成元)年『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞。’92年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞を受賞。’93年『火車』で山本周五郎賞を受賞。’97年『蒲生邸事件』で日本SF大賞を受賞。’99年には『理由』で直木賞を受賞。’01年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞。’02年には司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞(文学部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoshida
231
宮部みゆき氏の時代物は久々に読みます。江戸時代の讃岐国・丸海藩が舞台。主人公のほうや宇佐を取り巻く余りに大きく、絡み合った大人達の都合。幕府から丸海藩預りとなる加賀殿が近づくにつれ、丸海藩では毒殺等の凶事が続く。現代でも江戸時代でも変わらない、人間の愛憎による毒殺。宮部みゆき氏は人の心の闇を描くのが巧みだ。後半に嘉吉親分一家と宇佐を予想もしない凶事が襲う。まだ全貌が見えないが、下巻でどう伏線を回収するのか今から楽しみである。2015/06/08
Aya Murakami
172
令和元年新潮文庫紅白本合戦 よく見ると巻数?がうさぎさんのマークでデコレーションされています。海が荒れるときに白波が立つ様子と不器用だけどけなげな宇佐という登場人物を象徴していると思われます。うさぎのかわいらしさと裏腹に厄介払いで置き去りにされたほうが周りの大人たちに翻弄されたり政治上厄介な罪人がやってきたり…。結構内容が重い時代小説です。2020/03/24
KAZOO
124
かなり以前に読んだのですが、NHKのラジオの新日曜名作座(今も西田敏行さんが出ていますが)でやっていたのを聞いての再読です。金刀比羅宮があるところに置き去りにされた「ほう」という女の子とその後出てくる宇佐という女性が狂言回しのような感じで丸海藩(丸亀藩?)に起こる事件などを描いています。加賀殿(鳥居耀蔵?)を幕府から預かることになりますが上巻ではまだまだということのようです。2025/02/20
tengen
112
讃岐の国・丸海藩で巻き起こる悪霊騒ぎ、それに惑わされる市井の人々。 騒ぎの元凶、加賀様とは。便乗して暗躍する事件の真相は果たして。 読み応え感たっぷり。しかし、謎は深いまま。宇佐やほうはどうなるのか。下巻へ。2013/10/05
よむよむ
105
<Bオフ再読>すべての登場人物の生き生きとした表情、動き、台詞に心を鷲掴みにされる快感。胸が詰まる展開が続く中、“ほう”の一途さ、あどけなさに癒される。『白い、白い笑顔。とっさに思った。白い蛇だ。』2012/08/18