内容説明
鞠子の遺体が発見されたのは、「犯人」がHBSテレビに通報したからだった。自らの犯行を誇るような異常な手口に、日本国中は騒然とする。墨東署では合同特捜本部を設置し、前科者リストを洗っていた。一方、ルポライターの前畑滋子は、右腕の第一発見者であり、家族を惨殺された過去を負う高校生・塚田真一を追い掛けはじめた―。事件は周囲の者たちを巻込みながら暗転していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
361
(承前)一転して殺人犯の肖像画が描かれる。少年時の和明への優越感が続くと勘違いして成長が止まってしまい、社会に出ると思うようにいかない現実に苛立ったところで狂気に囚われて殺人を犯してしまう弱者でしかない。このままなら簡単に自滅したはずが、彼より優秀で他人を操ることに喜びを覚えていた「ピース」に再会して化学反応を起こしてしまう。彼に操られていると自覚せず犯行を繰り返し快楽としての殺人にのめり込む姿は、人の弱さ愚かさをこれでもかと暴き立てる。人は殺人者として生まれるのではなく、殺人者に育てられるのだ。(続く)2021/12/25
ykmmr (^_^)
207
1巻目で死んだ栗橋浩美に焦点が当てられ、胸糞悪い彼を取り巻く周りの人物を描いた2巻である。犯罪に加担させられた高井和明、『謎』の人物ピースに特に興味が惹かれる。栗橋の胸糞悪さが、ADが理由だとすると、宮部さん、現代問題に切り込んでいる。そんな生い立ちと現況を自分で処理出来ずに、問題を起こしてしまう事には胸が痛む。ピースの存在(誰か?)ということと、前畑・塚田がこの先無事で過ごせるか⁇3巻へ。2022/03/05
どんちん
183
非常に続編をソソるエンディングであった(1)だったので、相当期待をしていた。正直、前半は中だるみ状態だった。犯人?の生い立ちはそれなりに必要なのではあるが、寄り道にしては、ちょっと長いかな?中盤からやっと、オオぉきたきた、本題に戻るって感じだな!などとつぶやきつつ、犯人があっという間に死んでしまったので、この先どうなる?とわくわくしながら一気に読み終えた。結果的に、犯人はまだ生き残っているのがわかったわけでだが、いかんせん、まだまだ2/5なので、さらなるどんでん返し、ちゃぶ台返しに期待!2013/06/05
さくゆめ
172
前巻でも思ったが、宮部氏はとにかく引きが上手い。毎回続きが気になる展開を持ってきて以下続く!とやられたら、そりゃあ読者も夢中になるしかない。そう、我々は既に作者の術中に嵌っているのだ。なら、あとはラストまで完走するしか道はない。犯人は二人組、それぞれ違う狂気を秘めた快楽殺人者。ただしそのパワーバランスは、ピースと浩美では猿回しとその猿くらい歴然。彼らが被害者女性を「女優」呼ばわりするのに吐き気がした。千秋、特に鞠子について触れたシーンは…辛い。こいつら鬼畜だ。報いを受けろ頼むから!激しく憤りながら次巻へ。2019/09/03
nobby
154
なるほど、そういう構成!前巻ラストで衝撃の登場を果たした犯人ヒロミ視点で描かれる2巻。その生立ちやらに哀しさはあるが、そこから歪み屈折して行き着く狂気には嫌悪しかない…それでもハイペースで読んだのは、その悪意に自分も毒されているのか…中盤から事件とリンクし始め、鞠子や義男の名前見てますます加速。あえて女子高生メッセンジャー千秋を詳しく描写するのが憎い。一方で事故死した片われカズアキが漂わせる不憫さがたまらない。何より不気味さだけ残したピースの存在を追い求めて3巻へ。2017/01/28