内容説明
円山町のラブホテル街でホテトル嬢が殺され、渋谷署に捜査本部が設置された。証券会社に勤める百合子とのデートの約束を反故にして根本刑事は、一癖ありそうなベテラン村上と組んで聞き込みをはじめる。徐々に暴かれる被害者の素性。昼の彼女は、外資系証券会社の総合職エリートだった。一方、百合子は正体不明のストーカーにつけ狙われる。歪んだ「性」に斬り込む警察小説の快作。
著者等紹介
久間十義[ヒサマジュウギ]
1953(昭和28)年、北海道生れ。早大卒。’87年、「マネーゲーム」で文藝賞佳作入選しデビュー。歴史的事件に想を得た問題作を次々と発表し、ポストモダン文学の旗手として注目を集める。’90(平成2)年、『世紀末鯨鯢記』で三島由紀夫賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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誰か1人は死ぬ本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tsuyoshi
67
夜は売春婦をしていた証券会社のエリートOLの殺人事件において捜査にあたる主人公の根本やその他の刑事たち、証券会社に勤める根本の彼女のストーカー問題が平行して描かれている。場面はころころ変わるがサクサク読めて面白い。下巻へ。2018/03/16
mazda
23
とてもスリリングで面白かったです。速攻で下巻読みたいと思います。2014/12/04
Gatsby
9
久間十義氏というと、大学生か、卒業して間もない頃に友人から勧められて読んだ『世紀末鯨鯢記』以来の読書である。本書は、東電OL殺人事件をモデルにしているが、現代の様々な問題点にも光を当てている。上巻だけでは詳しくはわからないが、オウムやスピリチュアルにつながるような内容も描かれている。被害者の女性について、上巻ではまだまだ謎だらけだが、『ダブルフェイス』というタイトル通り、その二面性を持つようになった背景が何なのか、また、暗闇からプレッシャーをかけてくる汚い権力者の動きがどうなるか、下巻のお楽しみ。2011/02/13
yokmin
8
最近、なぜか読書欲が減退しているので、とっつきやすい本を選んだ。下巻はどういう展開になるのか・・2016/03/30
nadaha
6
東電OL事件をモチーフにしたサスペンス。総合職の女性というのは今でこそ珍しくないが、ウーマンリブの隆興、311でも浮き彫りになった東電の旧態依然の体質や、桐野夏生の「グロテスク」みたいな私立女子高育ちエリートの気持ち悪さなどなど色んな切り口から語られる事件で、動機や犯人など謎があまりにも多いのでみんな気になってしまうんだろうと思う。渋谷の混沌とした雰囲気もそれを後押しする。単なる殺人でもなく、金でもなく、男女関係でもない。あらゆる総合職OLがこうなる可能性があった。今でもあるかもしれない。2019/09/16