出版社内容情報
ダリア。欲望に身を任せた者は、皆この男にひざまずく。冒涜の甘美と背徳の勝利を謳いあげる、衝撃の作家生活20周年記念作。
その男が家にやってきた日から、妻のスープの味が濃くなった。野蛮さとまがまがしさを瞳に宿す、褐色の肌の青年ダリア。彼はすれ違いの一瞬で、平凡な人妻の心を奪い、冒涜の愉楽へと誘い出す。やがてその矛先は家族にも向かっていくが……。果たしてダリアとは何者か。美と悪徳が明滅する官能的な筆致から、もうひとつの現実世界への扉を開く衝撃作。作家生活20周年記念作品。
内容説明
その男が家にやってきた日から、妻のスープの味が濃くなった。野蛮さとまがまがしさを瞳に宿す、褐色の肌の青年ダリア。彼はすれ違いの一瞬で、平凡な人妻の心を奪い、冒涜の愉楽へと誘い出す。やがてその矛先は家族にも向かっていくが…。果たしてダリアとは何者か。美と悪徳が明滅する官能的な筆致から、もうひとつの現実世界への扉を開く衝撃作。作家生活20周年記念作品。
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
1959(昭和34)年、東京生れ。福岡・帯広・函館など各地で育つ。’79年、ロックバンド・エコーズを結成。’89(平成元)年、処女小説『ピアニシモ』ですばる文学賞、’97年『海峡の光』で芥川賞、’99年『白仏』フランス語版で同国のフェミナ賞を受賞。映画監督としても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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まる
56
最初の話とそれ以降の話が続いていることにしばらく気付かず。正直よくわからなかったのですが、生きていることと死んでいることは重なり合っていて、長い長い時の中ではどちらであっても同じようなものなのでしょうか。最後の話で悪魔のようなダリアの正体に触れられたような気がするのですがますますわからなくなりました。2016/05/03
もち
6
男と女に二分することから、人間は離れられないのだろうか。とろとろとした文体で紡がれる、生と死の混濁した世界は、現世から隔絶されたようでありながら、しかし、旧来の男女観に支配されているように思えた。2018/10/24
ななえもん
6
息をひそめて、こっそりと読みたい本。あまりにもキテレツな話なので、三日かけて読んだら、その三晩は、ぐっちゃぐちゃな夢を見た。色々な断片が脈絡なくつながって、次から次へと話が変わる。頭を掻き回される、不思議な経験だった。話を戻して、夢か現か読者をもかき回す語りが魅力的。登場人物は象徴的かつ退廃的。俗物が出てこないから、文体からほのかなオードトワレの香りが。素敵。最後に気になるのは、ダリアって、誰(ダリ)や?ってこと。ほんとに。2013/11/18
ゆう
4
青年ダリアに惹かれる家族の話。 生と死についての深い話なんだろうけど いまいちよくわからなかった。。 春フェスでECHOESを観て辻さんが読みたくなっただ。 あまりの若々しいお姿に驚いたけど 本に載ってる写真も若いな。2012/05/01
あるみお
3
時はくるくる回り続ける。2013/07/22
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