内容説明
1960年代、構成員1500人を擁する暴力団「東声会」を組織。児玉誉士夫の側近として政財界にパイプを築き、朴正煕韓国大統領の信頼も得て“日韓を股にかけるフィクサー”と呼ばれた町井久之(韓国名、鄭建永)。力道山やプロ野球選手との交流から美術や哲学への秘めた情熱など、未亡人らの証言は、「黒幕のもうひとつの顔」を浮き彫りにした。ある在日韓国人二世の栄華と凋落の記録。
目次
第1章 反共と暴力と
第2章 盟友
第3章 海峡を越えて
第4章 力の王国
第5章 夢の跡で
著者等紹介
城内康伸[シロウチヤスノブ]
1962(昭和37)年、京都市生れ。早稲田大学法学部卒業。’87年、中日新聞入社。東京新聞社会部で警視庁捜査二課担当、サブキャップなどを務める。’93(平成5)年~’96年、2000年~’03年、ソウル特派員、同支局長。その後、社会部デスク、北京特派員、外報部次長を経て、再びソウル支局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナツメッグ☆
5
ただのヤクザの親分がなに偉そうなこと云ってんだぐらいの認識しかなかったが、町井久之こと鄭建泳の日本の植民地支配に起因する民族差別に翻弄された彼の人生、或る意味壮絶だ。けっして安易に肯定はしないが、犠牲者だった側面は否定できない。しかし児玉誉士夫っていうのは、「愛国者」というのは名ばかり、どうしようもないクズだったんだね。2011/11/01
takao
4
ふむ2024/02/12
てまり
4
ヤクザ一代記なんですけど、晩年、かなり苦しい状況でも他人を責めず自らを励まし続けた日記を読むにつけ、生きる国が違えばヤクザじゃなかったかもなあと。六本木のビル群やレストラン類の蜃気楼みたいな美しさが印象に残りました。見てみたかったですね。著者が有名な新聞記者だからか、インタビュー先が豪華。しっかりしている。2021/05/07
midnightbluesky
4
町井本人の武勇伝のすごさはともかく著者の執念もすごい。そんな簡単な相手ばかりではなさそうなのだひしひしと伝わってきます。それにしてもこの月の新潮文庫はけっこう好みのノンフィクションばっかりでうれしい限りでした。エグいノンフィクションはやっぱり新潮文庫に限ると、ひとりごちてみた。2011/11/15
暇人
3
六本木界隈という言葉が生み出された元祖の方のノンフィクション。学生時代から相場に失敗するまでを描いている。本当かどうかは今では検証しようもないが、大きなことを考え実行しようとしていたことだ。グローバル化した現代においては、さほど意味をなさなくなってきたが、当時としては画期的だった。成功していたら、日韓関係も今とは少し違ったものになっていたかも知れない。2017/02/11
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