感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
32
ラストに書かれた、全世界の核戦争という悪夢は、今はあまり語られないように見える。この本が出たのは原爆から39年後。その時点でさえ「昔話」になる危機感をもって、この写真集を兼ねた解説書は書かれた。原爆を直接知る人々がどんどんいなくなっている今、改めて広島・長崎の悲劇を繰り返さないよう、ぼくらは知らねばならないと思う。戦後70年の今、果たして危機は去ったのか、と。2015/09/26
kinupon
24
絶対に忘れてはいけないこと。目を背けないこと。今の私たちに出来ることはそれ。2015/02/25
nobody
15
水俣病とは違い胎児性原爆症というのはあまり知られていない。代表的なものに小頭症がある。畠中百合子の母敬恵は妊娠3か月の時爆心地から730mで被爆、翌年2月に百合子を1870gで出産、2歳を過ぎて漸くハイハイする。小学へは通えず両股関節脱臼と小頭症、知能程度は2歳3か月と診断される。知能程度は終生変わらない。「百合子は赤ちゃんのように、中指と薬指をチュクチュク吸いながら寝る。食事にしても、今食事時間だから食べようとか、今みんなが食べているから早く食べなければ、という気持ちが全然なく、無理に食べさせるような 2020/08/06
sasha
7
「核の平和利用」なんて言って、原発をボコボコ作っている場合じゃなかったんだよな。人間が作り出した原子爆弾が、同じ人間を奪った。本書には炭化したご遺体の写真が多く掲載されている。正直、酷い。酷いけれど、これが現実に起きたことだった。原爆投下の記憶を持つ人々が。年々減って来ている。被爆者手帳を所持する人の平均年齢が80歳を超えたとの報道があったのが、つい先日。直接の体験者が皆無になったとしても、唯一の被爆国として記憶し、語り継がねばならないことがある。忘れてはならぬ。風化してはならぬ。人類の愚かな負の遺産を。2015/07/04
むっく
3
大学で開催されていた古本フェアで出逢う。500円と古本の割に高いと思ったが、絶版と書かれていたので購入した。原爆関係の本は何冊も読んできたが、この本のバランスの良さには感動した。心情に訴えかける子どもたちの文章、データに基づいた詳しい解説、そして思わず目を背けたくなる強烈な写真。絶版にするのはもったいない。平台に積むべきものだと思う。500円はあまりに安かった。2012/06/07