出版社内容情報
差配も店子も情に厚いと評判の長屋。実は裏稼業を持つ悪党ばかりが住んでいる。そこへ善人ひとりが飛び込んで……。本格時代小説。善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主(けいず)買い。髪結い床の半造は情報屋(ねたもと)。文吉、唐吉兄弟は美人局(つつもたせ)。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが……。人情時代小説の傑作!
西條 奈加[サイジョウ ナカ]
著・文・その他
内容説明
善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主買い。髪結い床の半造は情報屋。唐吉、文吉兄弟は美人局。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが…。人情時代小説の傑作。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964(昭和39)年北海道生れ。都内英語専門学校卒業。2005(平成17)年、『金春屋ゴメス』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
エピファネイア
148
西條奈加さんの比較的初期の作品。善人長屋に住む者たちは皆裏家業を持っている。質屋を営む差配の儀右衛門は裏では盗品を捌く故買屋でもあるという具合。その他にも掏摸や情報屋(ねたもと)、美人局など様々な裏の顔を持つ住民がいる。彼らは、裏の顔を隠すためにも日頃の行いには人並み以上に注意を払っているので、ついた名前が善人長屋。この長屋に本当の善人加助が加わり、加助が持ち込むいろいろな難題を長屋の住人が裏家業の技を駆使して解決するというお話。最終話で辛い経験をする加助の今後や差配の娘お縫の恋の行方も気になるところ。2022/06/17
やっちゃん
143
おとっつぁん、お願い!から始まる江戸が舞台の世直しモノ。どちらかと言うとマイルドでおじさんは同じ世直しでも任侠寄りのチャンバラが好きかな。善人ヅラした善人より悪人ヅラした善人の方がかっこいいよね、ウォーズマンだよ。2022/12/13
ちょろこ
118
どれどれと味見をしたら当たりの一冊。巷で噂のいい人ばかりが住む「善人長屋」。でも裏稼業は掏摸、泥棒などなどのツワモノだらけ。この設定だけで充分面白い。そんな悪党長屋にちょいとした運命のいたずらか、善人の見本のような男、加助が住まうことに。まるで黒玉にたった一つ紛れた白玉のような彼が持ち込むのは人助け案件。慣れない善に大騒ぎの長屋連中がさらなる面白さを運ぶ。裏稼業の知恵と腕前からの一件落着はちょい笑いありで読んでいて気持ち良い。そしてラストにしっかりホロリを味わえるのがいい。このシリーズ、いい予感しかない。2025/01/10
じいじ
118
人情味たっぷりの江戸下町を舞台にした時代小説は、とても読み味が好いです。「善人長屋」の住人は、裏稼業をもった一匹狼の面々。それを承知で住まわせる両親に、娘のお縫は合点がいきません…。家族や他人のために裏稼業に精を出す小悪党たちの物語は、なかなか粋でイナセな展開をします。或る日、裏稼業ことを何も知らない男が引っ越してきて、俄然物語は面白くなります。今春、直木賞作家の仲間入りをした西條さんの時代小説はイケますよ。追いかけたくなりました。2021/05/30
reo
115
直木賞受賞作「心淋し川」を読んだ関係で、著者繋がりでこの作品を読む。先に「大川契り」を読んだので大筋は把握済みだったのだが、加助がこの千七長屋に住まわっている理由が、もう一つ分からんかったのだが、『夜叉坊主の代之吉』と『野州屋の蔵』を読むと成る程と腑に落ちる。今作と三作目「大川契り」は連作短編集だったのだが、次作「閻魔の世直し」は長編のようなのでゆっくり読もう。2021/05/19