感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロミ
30
太宰研究の先駆けと言える奥野健男氏の太宰論。太宰文学は太宰のコミニズムからの転向が負い目となり深い影を落としている、という点を特に興味深く読んだ。なかなかそういう政治感覚は同時代に生きた人ではないと行き当たらないものだと思う。「ぼくたちは太宰が好きなら好きと真向から叫んでよいのです」という一文に胸が熱くなった。実に丹念に太宰文学を論じている本書だが、執筆当時著者がまだ二十代というのが驚きだ。同時収録の「津軽幻想紀行」も楽しく読んだ。詳細な太宰の年譜付き。2015/07/23
カブトムシ
20
太宰治の文学は井伏鱒二の文学に、技法上は大きな影響を受けたが、精神的な面ではほとんど影響を受けなかった。強いて太宰文学の系譜をさかのぼるならば、芥川龍之介にそれを求めることができるかも知れない。芥川は太宰の精神上の師であった。太宰の文学を、ひとつの文学史的な系列の中に位置づけることができない。このことは、志賀直哉の文学や三島由紀夫の文学が、多くの模倣者を産み、しかもその模倣によって一応作品が成立し、その上に新しい発展がみられる事実と対照的である。太宰の文学は、彼だからこそ成立するのであり、真似ができない。
Nozomi Fujimoto
3
太宰の下降思考プラスなにかしてほしかったなー、て。したら政治家になるんかな、でもそうしたら太宰じゃなくなる?結局名前残ってる政治家は太宰思想をとことんやっちゃった人も多いんだろなー、じゃなかったら殺されない気する。伊藤博文とかはそっちで、原田敬とかは私利私欲に傾いちゃった系かな…自分のためだけはなんだか虚しさが残る…けど他のためだけも苦しさが残る…その自己犠牲が他を傷つけて、結局自己満。とか。笑いつ消えちゃうか恐いから恋人にしたくないけど、やっぱりブレなかったのは、すごいなーて思うなー♪2013/10/03
おりぃ
3
ですます調で熱く太宰治について語られた。途中から、太宰を語ることによって自らのことを語り始めたのが印象的。批評としてはどうなのかわからないが、筆者がどうしても太宰治を語りたかったのだということは伝わった。2012/01/13
暖
2
太宰治の事をもっとよく知れた気がします!太宰治の人生はどうだったか、何を考えていたのか、学校で配られた便覧っていう教科書とかよりも知識が増えてますます太宰治の事を好きになりました。出会えてよかった評論です。2014/02/25
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- 和書
- 恋愛論 〈下〉 岩波文庫