出版社内容情報
あの日、風が吹かなければ、私は生まれてこなかった――。藤下歩実は母の奈津実とともに遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた。病を抱えた母の撮影のために。そこに飾られた一枚の写真を目にして、母はひどく動揺した様子を見せる。小学五年生の男子二人組、入院中の高齢女性。川沿いの町に暮らす人々が発した幾重もの?が、思いもよらぬ場所へと流れ込み……。奇跡の本当の意味を知るミステリ。
内容説明
あの日、風が吹かなければ、私は生まれてこなかった―。藤下歩実は母の奈津実とともに遺影専門の写真館・鏡影館を訪れた。病を抱えた母の撮影のために。そこに飾られた一枚の写真を目にして、母はひどく動揺した様子を見せる。小学五年生の男子二人組、入院中の高齢女性。川沿いの町に暮らす人々が発した幾重もの嘘が、思いもよらぬ場所へと流れ込み…。奇跡の本当の意味を知るミステリ。
著者等紹介
道尾秀介[ミチオシュウスケ]
2004(平成16)年『背の眼』でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し、デビュー。’07年『シャドウ』で本格ミステリ大賞、’09年『カラスの親指』で日本推理作家協会賞、’10年『龍神の雨』で大薮春彦賞、『光媒の花』で山本周五郎賞、’11年『月と蟹』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolgang1957
61
巡り巡る運命の過去と現在が繋がっていく様はお見事です。途中の「口笛島」では道尾秀介さんで初めて読んだ「月と蟹」のような子供の時、なんでこんなことして遊んだんかなぁって思えるような懐かしいムズムズするような話をはさんでながら、最期は一気に素人探偵ものへと展開して謎解き模様でした。ちょっとコミカルなのも良かった。…ところで石を落としたのは誰?えっ、ちゃんと読んでないのかな💦2024/06/10
カブ
43
道尾秀介氏の作品が好きだったはずなのに、しばらく手に取ることがなかった。「龍神の雨」に続き読了し、引き込まれなぜ読まなくなってしまったのかと後悔した。偶然の連続で運命が変わっていく。遺影専門の写真館、人生の最後に明かされる真実。でも、その偶然がなければ今の自分が生まれていないとしたら…。2024/03/24
seba
25
新潮文庫版にて。読後タイトルの示唆するところに思いを馳せた。誰かのあの嘘が無ければ、自分の今は存在しえない。嘘には、いわゆる「優しい嘘」もあれば悪質なものも当然ある。気まぐれに嘘をついてしまうことさえある。誰かの言葉を(嘘だとは知らず)受け取って、自分もまた何らかの行動を起こす、この繰り返しが人生。時が経って、誰かからのあの言葉が実は嘘だったと知った時、人はどんな感情を抱くのだろうか。もちろんその内容次第ではあるが、案外拍子抜けして終わることも多いのかもしれないと思った。それはきっと今が充実しているから。2024/05/30
綾@新潮部
24
「嘘」をつくとは。何気なくつく嘘、自分のためにつく嘘、他人を思いやってつく嘘などなどあるが、ひとつの嘘が幾人もの人生を変化させてしまうこともある。連作中編集で読み応えも抜群だし、実は少しずつ絡んでいる人間関係というのが最終的に大きな繋がりを見せたりと、最後まで気は抜けなかった。「まめ」と「でっかち」コンビが好きだなー。表紙をよく見ると浮かんでいる文章も美しくて装丁も好き。2024/04/05
時代
18
2021年に朝日文庫で読んでいたので再読でした。読み始めて暫く気がつかなかった。ともあれ、やはり道尾作品の完成度の高さに唸ってしまいました。レビューは前回書いたので割愛。とてもいい作品です◎◎2024/03/21