内容説明
俺の夢はあの国民的裏ヒーロー、ブラック・ジャック。黒いレインコートを羽織り(真夏でも)、床屋では店主も首を傾げるギザギザカットをオーダー、顔にトレードマークの傷をつけようとした時は怒られたけど(しかも失敗)、日々努力を重ねてる。でも母親が出て行っちゃったり、俺の人生けっこう大変―独特のユーモアと素直な文体で、いつかの童心がよみがえる、青春小説の傑作。
著者等紹介
久保寺健彦[クボデラタケヒコ]
1969(昭和44)年、東京都生れ。立教大学法学部法学科卒業。早稲田大学大学院日本文学研究科修士課程中退。2007(平成19)年、「すべての若き野郎ども」でドラマ原作大賞選考委員特別賞を、同年6月、「みなさん、さようなら」でパピルス新人賞を受賞。そして同年7月、「ブラック・ジャック・キッド」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。3本の受賞作でデビューし、注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
goro@the_booby
36
ブラック・ジャックになりたい小学生のジュブナイル。つらい経験もあるけどBJを支えとしてちょっと男になるのが清々しい。ファンタジーとしてあるけどこれは作者の自伝的物語かな。俺もBJの愛蔵版全巻もってて読み返してます。手塚治虫は天才だ!2016/05/03
kishikan
24
一言でいえば、ブラックジャックに憧れ、彼そのものになろうとした少年の成長物語。ということで、小学生時代の家族や友達との関係、ちょっぴり小さな恋の物語も。また身の回りに起きる事件や、不思議な体験も・・・。そうした経験を経て誰もが少しずつ大人になっていく。僕は、ブラックジャックは余り好きなマンガじゃなかったけれど、それにこうしたシリアスなマンガの主人公にはなって見たいとは思わないけど、この物語自体には、切なさと懐かしさという面で、惹かれてしまう。特に一人ぼっちの時に出会った「めぐみ」ちゃんとの別れにはね。2011/07/27
DarumaO
13
日本ファンタジーノベル優秀賞だそうで。購入。ファンタジーというよりかは、青春モノの色が濃い。途中で主人公の周りの環境ががらりと変わるので短編を読んだような印象。ヒロインもそのつど変わる。これはブラックジャックにかぶせた感じなのかな?ブラックジャックも読んでみたくなる作品でした。2011/06/04
たらこりっぷ
9
私もブラックジャックを読み込んだ世代なので、それだけで親近感がわきます。小学生のころ「何になりたいか?」と聞かれたら、大人から見たら現実的でない答えをしていました。少なくとも自分のころは。テレビや漫画に登場するヒーローはその定番でしょう。私たちにとってはファンタジーなどというものではなく、本当に考えて行動していた世界です。今のこどもたちは同じ感覚になるのかなぁ。2014/09/14
SORA
8
小学生の男の子が、夢中になることへのこだわりは凄い。興味があることに対してののめり込み方が徹底している。あんなに好きでブラックジャックと名乗っていた少年の成長や心の変わり方が、何となく切ない。2012/10/29