内容説明
大切な友だちや家族を、突然失ってしまったきみ。人を好きになる、という初めての気持ちに、とまどっているきみ。「仲良しグループ」の陰口におびえてしまうきみ。「面白い奴」を演じていて、ほんとうの自分がわからなくなったきみ―。正解のない問いや、うまくいかないことにぶつかり、悩むときもある。でも、生きることを好きでいてほしい。作家が少年少女のためにつづった小さな物語集。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。’91(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。’99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、同年『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞、’10年『十字架』で吉川英治文学賞、’14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
223
こども哲学、というフランスの本に寄せた「おまけの話」なんだそうだ。子どもにも理解できる問いは、大人でも正解がわからない。もし子どものころに読んだら、胸に響いただろうか。それとも鼻であしらって、放り出しただろうか。どうも、子ども向けにデザインされた大人が喜びそうな本、という気がしてならない。漫画本を読むと眉をひそめる大人が、これを読む子どもを眺めて満足する。そんな画が浮かぶ。だから素直に面白いっていえないんだ。だって大人に媚びてるみたいじゃないか。ほんとうは好きなのに?おっと、これも哲学の問いになるのかな。2019/08/15
ミッフー
113
もう終わりなの⁉️💦って感じて約1時間半程度で完読です👍子供の立場に立ったお得意の重松ワールド短編集✨唯一異彩放つは「あの街で」👀あの震災後の一年を四季を通じて子供目線で綴った小説。心なしか重くあの頃を思い出してしまう😞自分の事を語った「Sのお話」は子供だけではなく大人とも向かい合った小説✌️「ゆっくり不自由と付き合っていきなよ。時にはいろんな不自由が窮屈だったり、うっとおしかったり、文句をつけたくなったりするかもしれないけれど、どうか、生きることを嫌いにならないで」珠玉の言葉✨泣けてくるわ〜🤣2019/07/15
chiru
99
子供向けの本だけど、大人が読んでも共感できる『悩みと葛藤』を集めた掌編集。読んでいると、小学生の頃の自分に戻って一緒に正解を探してるような気持ちになってしまう。子供って体が先に動いて、心が後からついてくる。そして、もやもやした気持ちを言い表す言葉をまだ知らない。でも、悩んでる時間って『想像力』を鍛えてる途中なんだと思う。誰もが納得する『正解』を探すよりも『自分らしい答え』を見つけることの大切さを教えてくれる、力強い味方のような本。 ★32019/08/03
夜長月🌙
87
主に「こども哲学」に連載されたお話しです。「哲学って、なに?」と問われると回答のすべが私にはありません。でも「自分って、なに?(自分らしさ)」「自由って、なに?(自分の意思)」「人生って、なに?(幸せとは)」と問われると自分なりの答えは出せそうです。そういうことが哲学につながっていくのでしょう。2019/12/22
じょんじょん
73
『こども哲学』のおまけの話たちと、東日本大震災に関わる町の四季『あの町で』。子供むけではあるけれど、大人が読んでも深い話。電車の話なんか、身につまされます。乗っている人の数だけの「正義」、考え方、感じ方、それぞれの人の事情、体調、それぞれ違うわけですから。内部障害の若い女性が優先席座っていたら、ヘルプマーク見せても罵られた話も聞きました。震災で壊滅した町、卒業式の後に持ち越した野球の勝負が切ない。ライバルは犠牲になり、好きだった女子の運命もかわる。『あの町で・夏』が一番こころ震えました。子供の絵も素敵。2019/08/09