内容説明
従業員数7万人、年間生産台数700万台、経常利益1兆円、50年間赤字なし…。創業70年を目前にした、世界に冠たる“常勝企業”のその内幕とは。躍進を続ける強さの秘密はいったい何なのか?創業者一族の拭い切れない影、人生を賭した熟練工たちの存在、ライバル社との熾烈な争い等々、新たな証言を交え、全貌に多角的に迫る。決定版企業レポート。
目次
第1章 豊田家(二つの五十回忌;家系図 ほか)
第2章 養成工一期生(This is a nut.;手に職を持て ほか)
第3章 技術者の攻防(「ノー」で始まった大衆車;サニーの影、ファミリアの足音 ほか)
第4章 最速への挑戦(解かれた「封印」;技術格差 ほか)
第5章 労組という藩屏(「二十六万」力の構図;百億円は眠り続ける ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
giant_nobita
10
トヨタがどんな車を作ってきたかというデータ本でも、経営のノウハウを説くビジネス書でもなく、経営陣から労組の幹部、現場の社員まで、さまざまな関係者(元も含む)の証言を中心に、カローラの開発やF1への挑戦などのいくつかのトピックを通じて、トヨタという会社の理念や仕事哲学を描いたルポルタージュ。取材相手の選定がトヨタに好意的な人物ばかりなため、また関係者への配慮が働いているのか、トヨタの良い面は掘り下げられているが、証言でポロリと出た「トヨタの闇」を感じさせる話題についてはスルーされており、隔靴掻痒感がある。2019/04/29
OjohmbonX
5
トヨタの歴史・技術力・政治力・労組や創業家の立ち位置など広範なトピックが整理されている。元副社長でジャストインタイムやかんばん方式などを実践・体系化した大野耐一の『トヨタ生産方式』を以前に読んだ時には分からなかったが、現場側からは大野がどう見えていたのかが描かれていて面白い。怒鳴ったり材料を床にバーンと放り投げたり、床に丸を書いて工長を立たせたりして、現場からは恐れられていたという。大野が説明ベタなのもあるが、「感覚的な効率の良さ」とは乖離した新しい手法を定着させるのが、いかに難しいかということだと思う。2021/02/14
りょう
5
自動車関係に就職したので、一応読んでみた。東京からきた自分からみると、企業と地域がこうも密接に関わっているというのが新鮮で面白かった。豊田家の影響力もやはり強いのね。勉強になりました2013/05/18
うたまる
3
「あまりに行き過ぎた配慮は、後ろめたさを隠した底意に通じる」……客観的視点を装いながら、実際はトヨタ賛美に満ち溢れた提灯記事に幻滅していたところ、解説の佐野眞一氏の率直なコメントにのみ共感を覚えた。唯一批判めいた記事は「本家の神格化」と「市名変更」の件のみで、他にもっと書くべきことがあるだろうとムカッ腹が立つ。「三菱自動車以上のリコール隠し」「製造現場の非正規社員化」などもそうだが、何より「年間一千億円規模の広告費によるメディア支配」こそ踏み込むべきところのはず。だから新聞屋は駄目なんだ。2012/06/30
hiropon
1
トヨタの歴史の本。やっぱそれなりの大企業にはお金が集まるだけあって、きれいなことばっかりじゃないし、ある種の宗教的な理念があるのかなーと思った。その理念が今の日本の技術の元となってるものでもある。でも多分自分は大企業向いてないかなー。2012/04/06