新潮文庫
光の雨

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  • サイズ 文庫判/ページ数 615p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101342023
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

2030年。玉井潔は、60年前の“あの事件”のために死刑判決を受けた後、釈放された過去を持つ。死期を悟った彼は、事件の事実を伝え遺すべく、若いカップル相手に、自分達が夢見た「革命」とその破局の、長い長い物語を語り始めた。人里離れた雪山で、14人の同志はなぜ殺されねばならなかったのか。そして自分達はなぜ殺したのか…世を震撼させた連合赤軍事件の全容に迫る、渾身の長編小説。

著者等紹介

立松和平[タテマツワヘイ]
1947(昭和22)年、栃木県宇都宮生れ。早大在学中、「自転車」で早稲田文学新人賞を受賞。土木作業員、運転手等の職を経て、故郷の市役所に勤務。’79年より執筆に専念。’80年「遠雷」で野間文芸新人賞、’93(平成5)年「卵洗い」で坪田譲治文学賞、’97年「毒―風聞・田中正造」で毎日出版文化賞を受賞。各地を旺盛に旅する行動派作家として知られる
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

158
「連合赤軍事件」を題材にしたフィクションである。革命に夢を描き、総括と言う名の リンチ殺人事件を繰り返した若者たち… 坂口弘をモデルにした思われる玉井潔という 老人の視点で、2030年に生きる予備校生とその恋人に 語りかける形で、あの事件が 語られる。 暴走する 集団の狂気が 本当に 怖い…そんな 作品だった。 2020/04/01

ゆみねこ

16
2030年、死刑制度の廃止により釈放された元死刑囚「玉井潔」が語る60年前の事件。若い予備校生のカップルに自分たちが夢見た『革命』とその破局の長い物語を伝えてゆく。連合赤軍事件の全容を知ることが出来る貴重な一書。2014/04/22

かふ

14
連合赤軍(赤色パルチザン)事件から約年55年後の2030年に事件当事者の玉井潔(坂口弘がモデル。死刑判決を受けたが2030年は死刑廃止になっている)が浪人生カップルにリンチ事件を伝えよう(精神のリレー)と呆け老人じゃないけど死者たちのイタコになって語りだす物語。近未来小説としては無理がある。なんで2030年にしたのかな。2030年の浪人生カップルがテレフォンセックスとかゲーセンでセックスとか性的エネルギーが溢れているのは全共闘世代の思考だった。2018/12/29

ブラックジャケット

13
連合赤軍のリンチ殺人事件が報道されたのは、私が十代後半の頃で、衝撃というしかなかった。メンバーの名前も忘れられないほど。作者も全共闘世代で、連合赤軍事件は避けて通れない課題となったようだ。2030年の死刑制度がなくなった日本が舞台で、80歳代の玉井潔が、若い予備校生阿南満也にかつての過激派活動を語るスタイルになっている。 いわゆる枠小説で本編に至る。そこでも人物によって視点を変えたり、銃そのもののモノローグを加えたり、斬新な構造で、革命が暗転した地獄を描く。小説家が生きた時代を再検証する凄みが伝わる。 2023/07/25

サーフ

11
実際に起こった「山岳ベース事件」をベースにしているという事もあり、600ページに渡り重たい内容がずっと続いてゆく。リンチ描写は凄惨で読んでいて嫌悪感を禁じ得ない。こういった日本の汚点を当事者から2030年を生きる若者に語り継ぐといった構成で実際に日本で起こった出来事を汚点はそのまま汚点として受け継ぎ、再び同じようなことが起こらないように未来に刻み込まなければならないという作者の思いを感じた。2020/11/16

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