内容説明
作家として立つために夫・吉村昭とともに必死で小説を書き続けた若い頃。戦時中の青春。長崎、三陸、北海道、湯沢、日暮里、吉祥寺など、仕事以外には旅をしない夫の取材に連れ立った思い出の地と、移り住んだ土地。「戦艦武蔵」「星への旅」「海鳴」「流星雨」など、それぞれが生み出した作品の創作秘話。そして、故郷・福井への思い。昭和三年生れの著者が人生の軌跡を綴った珠玉の随筆五十三篇。
目次
1 夫の面影(号外;雪国の町 ほか)
2 小説を生んだもの(佐渡慕情;やきものを求めて ほか)
3 故郷からの風(四日間の奮闘;ある町の盛衰 ほか)
4 移ろう日々の中で(箱根一人旅;二十八組の洗濯挟み ほか)
著者等紹介
津村節子[ツムラセツコ]
1928(昭和3)年、福井市生れ。学習院短期大学国文科卒。在学中より小説を発表し、’64年「さい果て」で新潮社同人雑誌賞、’65年「玩具」で芥川賞、’90(平成2)年『流星雨』で女流文学賞、’98年『智恵子飛ぶ』で芸術選奨文部大臣賞、2003年恩賜賞・日本芸術院賞、’11年「異郷」で川端康成文学賞、『紅梅』で菊池寛賞を受賞。日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
69
私の大好きな高村智恵子の物語を書いていらっしゃることを初めて知る。是非読みたいと思う。作品で繋がる人と人、愛と愛。2019/12/28
タツ フカガワ
47
〈夫の面影〉から始まる全5章、53編を収めたエッセイ集。夫というのは故吉村昭さんのことで、二人の出会いは大学の文芸部。「委員長は吉村昭という結核で進学が遅れている老けた学生で、守衛が助教授だと思って挨拶していたという」その人とともに、この後作家への道を歩んでいく。そして、これはお前が書くべきだと、書斎に幕末の長崎の写真家上野彦馬の資料を遺して逝った話など、どれも心温まるエッセイでした。2024/06/12
やどかり
22
やはり吉村昭氏とのエピソードを知ることができるのがよかった。生前の原稿を手にし涙されるなど、吉村氏が亡くなった寂しさを抱えたまま生きてらっしゃるんだなと思った。作家同士の夫婦で、かけがえのない戦友のような存在だったのかもしれない。津村氏の作品にまつわる話もあって、読みたい本も増えた。2022/10/10
ryohjin
18
夫・吉村昭氏没後のエッセイです。一篇5ページほどの簡潔ですっきりした文章に居心地のよさを感じ読み終えました。大半の作品に吉村氏が登場しており、共に作家として歩んできた相方への想いが感じられます。 吉村作品について知りたくて手に取った本ですが、著者自身の小説についても書かれており、こちらも読んでみたくなりました。2023/05/02
のん
13
エッセイ集。ご主人の吉村昭氏がそこここにでてくる。寂しさを底に、思い出として綴られるあたたかな文。喪失感を思うと少し辛かったです。吉村氏の本も読んでみたくなりました。2020/03/21
-
- 和書
- 危険犯の研究 (新装版)